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人生を深く楽しむためには「言葉の解像度」が重要なのではないか

「人生を深く楽しむ」ことは、多くの人にとって重要なテーマではないでしょうか。
同じ体験をしても、それを楽しんでいる度合いには個人差が大きくあるように見えます。

「いかに一つの体験から喜びや感動を深く味わうことができるか」という問いについては私自身、強い関心があります。

そして、その問いを考える上で鍵となるのが「言葉の解像度」なのではないかと考えています。

ワインのソムリエに学ぶ「言葉と感覚の関係」

言葉と感覚の関係を考える上で、ワインのソムリエは非常に示唆に富む存在です。

ソムリエは、ワインの味を理解し、それを的確に説明するための「言葉」を最初に学びます。

例えば、「ブラックベリーやカシスの香り」「なめらかなタンニン」といった言語表現は、ワインの複雑な味わいを言語化するための重要なツールです。

言葉の解像度が上がることで、味覚の解像度も上がるという構造があるのです。つまり、豊かな言葉を持つことが、感覚をより繊細に、深く理解することにつながると言えそうです。

人生における言葉の重要性

人生においても、これと同じことが言えるのではないでしょうか。

何か自分の心を上向きにする体験をしたときに、「楽しかった」という一言で済ませてしまう人と、その体験に適切な言葉を付して自分の中で振り返ったり、人に話すことができる人とでは、後者の人の方が同じ体験でも深く味わっている感覚が得られそうです。

体験を言語化することで、その記憶は自分の中で構造化され、より深く刻まれていきます。

また、他者とその体験を共有する際にも、豊かな表現力を持つことが、相手により深く自分の感動を伝えることにつながります。

小説の学校への入学

私自身、自分の体験を人に話すのが苦手で、「楽しかった」ことはすべて「楽しかった」で済ませてしまいがちです。

これでは自分がした体験をうまく味わえていない気がして、もどかしい。
せっかくの感動も、言葉にできないがために、自分の中で十分に消化できていない感覚もあります。

そんな悶々とした思いを抱えていた中で、たまたま今年のチャレンジテーマが「小説執筆にチャレンジすること」だったので、「東京作家大学」という小説の学校の体験授業に行ってみたのですが、そこで思わず大きなヒントをもらうことになりました。

以下は、体験授業の講師の方が授業の冒頭で語ったものです。

皆さん小学校の遠足の感想文で『楽しかった』と書いていた人も多いのではないですか?
小説を書くとは、『楽しかったこと』を『楽しかった』と書かずに伝えることです。
説明を書くのではなく、描写を書くのです。
登場人物の心情や状況を、具体的な言葉で表現することが重要なのです。

これは、まさに私の言語化能力の課題と人生を深く味わうというテーマに直結するもので、入学を決めました。

小説執筆の修行をすることで、少しは自分の体験を咀嚼する解像度を上げられればと思っています。

実際に小説の書き方を学んでみて、自身の感覚がどのように変化したかなどもnoteで書いていこうと思います。

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梶谷健人 / 新著「生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方」
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