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「国際協力」から見る日本とフィリピン2
*前回に続き、あくまで個人の見解となることをご了解の上、お読みください。
2022年に就任したマルコス大統領。就任当初は中国と良好な関係を築いてきました。これは前任のドゥテルテ大統領の外交方針を引き継いだものと言えました。
しかし南沙諸島での中国側の執拗な嫌がらせや妨害行為等もあって、今ではアメリカとの関係深化に舵を切っています。
フィリピンは戦時中アメリカの植民地化にあり、また米軍基地もあります。アメリカ(軍)としても、アジア太平洋地域の抑止力等を考えれば、フィリピンとの関係がよくなることはメリットもあります。
日本も、フィリピンに対して、南沙諸島での中国対策を見据え、海上保安庁がフィリピンのCoast Guard(沿岸警備隊)への機材供与を含む様々な支援を行っています。
そして2024年4月には、日米フィリピンの首脳会談が行われるまでになりました。大まかにいえば、対中国への連携を確認した重要な会談だったといえます。
そしてニュースでほとんど見えないところでいえば、日本政府の人事にも注目です。
*以下、個人名は日本外務省HPで公表されているものです。
2024年に着任された駐フィリピン日本大使である遠藤大使は、いわゆるチャイナスクールの出身です。チャイナスクールとは、外務省(霞が関のほかの省庁含む)で中国の専門家として研修(留学)を受けたり業務をされてきた方たちのことです。
遠藤大使は在中国日本大使館での勤務経験をはじめ、中国担当課長、アジア大洋州局で参事官・審議官等を務められ、直近では国際協力局長もされていました。
私も外務省の人事に詳しいわけではありませんが、この人事を見た際、いよいよチャイナスクールの方が駐フィリピン大使になるところまで来たか、と感じました。中国の専門家がフィリピンの大使になるということは、かなり中国を睨んだ人事と言えます。
以前聞いた話では、各国にある日本大使館においては、その国で中国がどのようなことをしているかもよく調べているとのことでした。つまり中国の動きを見ながら、日本の外交を世界で展開しているということになります。
なお、これも関係者から聞いたところによると、今まで在フィリピン日本大使館の次席公使(ナンバー2)はここ最近は代々チャイナスクールの方だったとのことです。
さらに余談ですが、日本の外務省の国際協力局長は、ここ最近チャイナスクールもしくは中国大使館勤務経験者が続いています。あくまで私の知る限りですが、植野氏(現カンボジア大使・元中国次席公使)、遠藤氏(現フィリピン大使)、石月氏(現職・元在中国日本大使館公使)です。ODAの実施に際しても中国がいかに意識されているか、ということを感じさせます。
少し長くなりましたが、まとめるとこのような感じです。
日本とフィリピンは、もともと関係は良好でしたが、中国という共通の相手(敵ではないけどそれに近い)の出現によって、米国も含め、ここ数年でより関係が深化してきました。
さらに、外務省の中国の専門家が大使に就任。より中国を意識した外交になっていると感じています。
日本のODA全体を司る外務省国際協力局長も、中国関係の官僚がここ数年続いることも、ODAがいかに中国を意識して実施されているかということの裏返しではないかと感じています。
*繰り返しになりますが、すべて主観です!