たぶんわかってる?それともわかってない?
「Whopper」チェーン展開するファストフード店のハンバーガー。異国での懐寂しい学生の食を支える頼みの綱だった。
ある日、カウンターでいつものように注文すると対応した白人女性スタッフが「What?」
イヤな予感はした。日本人であることがわかると、より一層大きく距離を縮めようとする男性たちにしばしば脳内警戒アラートが発動したが、逆にこれが人種に対する嫌悪感なんだろうなと露骨でなくとも感じさせる人たちも間近で見てきた。
十代だった私の話す英語が拙いことは自分でわかっていたが「Whopper」が通じないことはそれまで一度もなかった。スマホのない時代、その発音が「ワッパー」ではなく「ウォッバー」に近いことも事前にインプット済み。
カウンター越しに、その女性スタッフのしら〜っとした表情を見ながら、二回ほど発音を微調整してみたが「は〜っ?」のジェスチャー。(あ、そういうことね)諦めて、ペーパーメニューに人差し指を置くか置かないかのタイミング。
「さっきから彼女は正しく注文してるだろ!」
アフリカ系アメリカ人のビジネスマンらしき男性が私の横に現れて、女性スタッフを一喝してくれた。いや〜ん。かっこええ〜!
たとえ私の発音が失笑を禁じ得なかったにせよ、大きく外してないのなら、メニューの中から"近似するもの""そうじゃないかと思われるもの"を想像する寛容さをスタッフには持ってほしかった。
その国でも長年冷遇されてきた歴史的背景を持つ立場の男性から、手を差し伸べられたことに感情が溢れ、私の知る最大の感謝を伝えたことを覚えている。
所変わって、つい最近の日本での話。
客「来週土曜日UFJ行きたいので、新幹線の切符をお願いします」
窓口スタッフ(以下スタッフ)「UFJ?ATMなら地下道降りたとこにありますよ?」
客「え?UFJですよ?新幹線で行くんですよね?」
スタッフ「UFJですよね?だから地下にありますよ?」
こんなやり取りがMどりの窓口で延々続いていたとの投稿を目にした。人気芸人さんの漫才(に、ほぼ同じ)ネタはあるが、実際に起きた話となると全くもって笑えない。
客の「新幹線で行くんですよね?」で、UFJじゃないと気づくべきだし、たぶんスタッフは客の意図するところをわかっていた気がするのは私だけだろうか。(投稿者の言及はなかった)「おっしゃるのは三菱UFJ銀行のことですか?それとも関西のテーマパークですか?」聞き返せば済む話なのに。
日本人同士であっても、そうでなくても"相手が何を言いたいのか""言おうとしているのか"想像力を働かせる優しさが会話では重要だと思う。
駅や空港で、外国人旅行者から日本語で道や経路などを尋ねられることも増えた。「Whopper」の記憶はずっと消えない。私も想像力を忘れないようにしたい。
アボカドと鮪赤身をオリーブオイル、醤油、すり下ろしたにんにく、山葵多めにさっくり和えてレモンをひと搾り。まずはビールから。
「アボガド」と言い間違えられることもあるが、正しくは「アボカド」海外では「アヴァカーロ」と発音すると「What?」と言われにくいと思われる。