砂の街
春風かおる、武蔵野です。
今年も冬を吹き飛ばす大風がやってまいりました。一気に暖かくなって紺色コートをぬげるのは大変うれしいのですが、いかんせん悩まされるのが、大風と砂嵐です。
表を歩けば、電柱をヒュウヒュウ揺らす大風に、畑やグラウンドから飛来する黄色い砂たち。油断すれば目の中に砂が飛び込んできます。口の中も、いつの間にかじゃりじゃりしています。はなみずにくしゃみだって出ますし、大変です。
家の中も砂だらけで、ちょっと雑巾で拭けばすぐに真っ黒です。窓を閉めているはずなのに、一体どこから? 彼らは優秀な潜入官です。
街道沿いを歩くと目に入るのが、屋敷森です。こんもりとした木々は防風林と防砂林で、砂を避ける知恵だそうです。確かに、畑の方から飛んできた黄色い雲のような砂は、防砂林にぶつかると、凄まじい速さで上昇し、家を避けていきます。
「昔の人は、工夫したものだなあ」
と感心します。
現代の街は、砂たちに大変脆弱です。街を歩けば、そこかしこで黄色い煙幕が立ち込めます。車のライトがぼんやりして、電線の影が濃くはっきりと空中に投影されます。
春の武蔵野は、砂の街です。
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