私と宣伝会議賞とテスと。
とんでもないことになったな、と思っている。
去年の10月いっぱい、私はあることで頭がいっぱいだった。
宣伝会議賞。
宣伝会議賞とは日本最大級のCMやキャッチコピーの企画を競うコンテスト。なんと賞金100万円。プロ・アマ問わず挑戦できて、コピーライターの登竜門と言われてるとか。
おい、中三だぞ。受験生だぞ。丁度9月から12月くらいまでは受験に向けたテスト真っ盛り。1か月に1度は必ずあったし、2週間後なんてときもあったはず。
ダメだ、とわかっていた。どれだけ興味があってもただの中学生が、受験生がやることではない。例えるとしたら登山経験がない人がエベレストに登るようなもの。例え登ったとしても長い時間と体力が失われる。
寸前にあったテストは……。家もなんやかんやでドタバタ。真面目に勉強しようとしていた。していたはずなのに、
火が付いた。
見逃さない。
たった一言なのに、グッと心を掴まれる。
尊敬する阿部広太郎さんのツイート。宣伝会議賞を知ったのも阿部さんの「超言葉術」だった。中高生部門なら。もしかしたら。
完全に気持ちは固まっていた。
「書こう。」
賞が欲しいとは思わなかった。ただ、見つけてもらえる。私の言葉をプロに見てもらえる。結果がどうであれ、自分が成長できると思った。
そこからは自分との闘いだった。
とは言っても書けない自分VS書きたい自分だけではなかった。
書けない自分VS書きたい自分VS書くなよ自分
考えるのがすごく楽しかった。どこから見よう。誰目線から見よう。何を言ってほしいんだろう。書きたい手を必死に止める、書くなよ自分。おい、テスト近いぞ。今日は10本まで。書いても20本まで。
でも、書きたい自分の感情には絶対に勝てなかった。
気づけば100本、200本、300本、高い山である一般部門にすら手を出し始める。10月末。中高生部門に399本、一般部門に101本、合計500本に達した。これ以上するのは流石にまずいと思い、11月は1本も書かなかった。
(500本は今見返すと恥ずかしくなるコピーばかり。正直酷かった。)
これが私の第58回宣伝会議賞だった。もちろん、テストの結果は、
ちょっと悪かった。
1通のメール
全く期待していなかった。
2月1日発売の宣伝会議3月号。一般部門の1次審査通過者が発表されている。アマゾンで少し見ると通過率が1%もなかった。Twitterでは通過報告が。私は、買わなかった。
そこから数日、学校から帰ると1通のメール。
宣伝会議事務局
え?宣伝会議?何かの間違いなんじゃないか。部屋で慌てているときに固定電話に電話が。兄が勝手に出て、私宛だと受話器を差し出す。
もちろんこれが受賞の連絡だった。読売中高生新聞の協賛企業賞。兄が出てしまったため家族に報告。
「すごいじゃん!全部で何本書いてたの?」
「……500本。」
しっかり褒められた後に怒られた。父はコピーライターの道を若い頃に考えたことがあるらしく、大喜びだった。
ここまでが私がTwitterで報告した話。この後は初出し。
これが、始まりだった。
1本の電話
それからまた数日。また電話がかかってくる。母が出ると私宛だと受話器を差し出す。
宣伝会議事務局だった。賞の取り消しかと思い、少し焦って電話に出る。
徳川家康賞の受賞だった。
え?となる。どうやら課題にあった岡崎市がいくつか独自の賞を作り、その中の徳川家康賞を受賞したらしい。
「ぜひ岡崎市へ来てください!」
贈賞式に招待していただき、感染対策万全で弾丸で岡崎市へ。雪が降る北海道から桜が咲く岡崎。初めて、本物の桜を見た。まだ咲き始めと言っていたが、今まで見た桜の中で1番綺麗だった。武将隊の方々と話したり、岡崎城へ行ったり、八丁味噌工場を見学したり。本当に素敵なところだった。今度は友達とゆっくり行きたい。
1冊と2通目
2作品も受賞することになり、一般部門の方が気になって宣伝会議3月号を2・3週間遅れで購入。これが一部の人というのが信じられないほど一時通過者の名前がたくさん。Twitterで見る名前の方も。これが大人か。すごい。
ん?あれ?
中部電力に私の名前が。ってことは、一次に1本通過していた?101本中1本。おぉ、すごい。2次まではいけなかったものの、大人と少し勝負できたのか。感動。
そしてもう1つ。いや、2つ。
なんと、中高生部門の特別課題「部活動の価値を伝えるキャッチフレーズ」で優秀賞を頂くことに。しかも2本。自信作だった。ここまでくると、自分自身がよくわからなくなる。でも、それ以上に嬉しかった。
いくつもの経験
500本中4本が受賞。1本が一般部門で1次通過。
読売中高生新聞様に取材していただいたり、なんだかとんでもない経験をしたなと思う。受賞報告ツイートは100以上のいいねが。たくさんの方にフォローもしていただけた。
宣伝会議事務局の方々、家康公・岡崎市役所の方々、審査していただいたコピーライターの方々、阿部広太郎さん、私のツイートを見てくださって皆さん、そしてこの長いnoteを読んでくださった、あなた。
感謝。ありがとうございました。
そして、読んでくださった中高生の方。近くに中高生がいるという方。
宣伝会議賞は、大人が本気で向き合ってくれる場所です。
こんな機会なかなかない。プロの言葉使いが私たちの言葉を必死に見つけてくれます。言葉を通して向き合ってくれる。そのたった一言で、自分を変えられます。
それに、私たちは中高生部門と共に一般部門にも出すことができます。大人の倍出せるんです。悩んで、見つけて、書いて。損することはありません。テストの点が悪くても、私はここにいます。
一緒に登りませんか?
挑戦しませんか?宣伝会議賞。
私は田舎者です。ただの中学生でした。特別な教育は受けていません。公立中学校です。そんな私が受賞できたのです。見つけてもらえたのです。
宣伝会議賞じゃなくてもいいのです。自ら動いてください。動けば手を伸ばしてくださる方が必ずいます。
私は、書き続けます。
どうか、この声が届きますように。
KaiTO
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