# しがらみを取っ払う
これまではみんなと一緒に,みんなと同じ進路を,特に何も考えずに歩んできた.
勿論その都度,その瞬間ごとに将来に対して何も考えていなかった,という訳ではない.でもある意味某国立大学理系学部に在籍していて,修士までの道のりははっきり言って既定路線だったと思う.そこに特に疑問を持つことなく,また特に強く志すこともなく(研究室配属は流石にちょっと違ったかな)自分の進路を歩んできたと思う.
だから今の自分の選択肢は,初めて他に人から大きく逸れて決断をしたことになる.無論,同じ会社に就職する人なんて数えるほどだし,そういった意味ではこれからのフェーズは誰しも異なる選択肢をとって進んでいく,ということになる.
でも就職と進学という選択肢に大きく二分すれば,後者を採る人は圧倒的少数派なわけで,そういった意味でちょっと自分だけ大きく逸れている,というちょっと自分本位な話をさせてもらう.
とにかく色々なことが見えてきたと思う.無論それが,日本が抱える”しがらみ”から抜け出したことに起因するのか,あるいは皆が自由に暮らす”ドイツ”という国に来て様々な価値観に触れたからなのか,はっきりしない部分はある.
でも,明らかに変わったな,と思った部分は,”自分本位に生きていい”と思えるようになったことである.自分がやりたいことは何なのか,これをゼロベースで考える.理系だから,とか,博士だから,とか,男だから,とか,全部取っ払い,”自分がしたいことは何か(=自分の判断の根幹をなすもの,いわゆる軸)”,ということだけを抽出してそれを望むことができる.
そして実現する.状況によってはとても困難なことかもしれない.でもそれは,実行する上での苦労と,何かを望む気持ちの天秤が勝った方が行動を支配する.つまりそこでやりきれない,ということは,それほど望んでいたものではなかったもの,ということになる.
とにかく,やらなければいけない(と思っていた)ことに溢れていた.他人の目を常に気にして生きてきた23年間だったと本当に思う.
無論,それこそ僕がやりたいことだと本気で思っていたし,その日々に後悔はない.でもこの他人本位の考えは,ネガティブになったときに弱い.
自分はどうなんだ,自分は何でこれを目指していたのか.
他人本位のモチベーションはここが結構簡単に揺らぐと思っている.
だから,全て取っ払って自分を見つめなおした先に抽出された純度の高い”やりたいこと”に囲まれて生きていけるように,これからの将来を考えたい.
みんな一緒じゃなくていい.