【読書感想文】「超」入門 失敗の本質
【感想】
この本で指摘された“失敗の本質”の中から、個人的に特に現代(のビジネス)に通ずると感じる“失敗の本質”は以下の3点
1. 成功、失敗の本質を捉えない振り返り
2.成果や事実に立脚せず個人への配慮や気遣いを重んじる意思決定
3. 部分的な都合の良い事実を、その他関係のない事柄に対して希望的観測を持って展開していく
これらの事柄は戦後75年経った現在の組織でも変わらず行われており、ビジネスと言う戦争下においても世界大戦と同じ敗北を生み出す要因になりかねない。ドイツの宰相ビスマルクの「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」を心に留め、謙虚に歴史からその敗北の要因を学ぶべきである。
【内容抜粋(個人的な理解•解釈を含む)】
戦略とは追うべき指標を決めることである。指標は戦局に合わせて常にアップデートされていかなければいけない
勝利の本質的な理由を分析しないで形の伝承を行う事は競争環境が変わった時に勝ち続けることができない
イノベーションとは相手が重要視する指標を見極め、その指標を無効化する方法を検討し、それを実行することによって成し遂げられる
形の伝承と勝利の本質の伝承はともに重要だが、全く別物であることを明確にし、伝承する必要がある
勝利の本質を追求せず型の伝承ばかりをしている組織は、型が機能する前提を覆すようなパラダイムシフトが起こったときにその変化を認めようとせず、変化の芽を潰すような行動を行う
自分の理解していない現場を蔑視していること、現場の意見を尊重しようとしない姿勢が現場、現実に沿った戦略の策定を妨げる
人事評価とは組織に対するメッセージである。日本軍の敗戦の原因の一端は戦下での結果ではなく、リーダーの意図ややる気を評価したことにある
トップが現場の激戦地に赴き常に自分の目と耳で確認をすることが組織の利益に直結する。ピラミッド型組織においてはトップにフィルターがかかっていない情報は上がってこない
チャンスを潰す人物の3つの特徴
•自分が信じたいことを補強してくれる事実だけを見る
•他人の能力を信じず、理解する姿勢がない
•階級の上下を超えて他者の視点を活用することを知らない
リーダーとは新たな指標=戦略を描ける人物である。戦略を理解していないリーダーは変化できない
失敗するリーダーに共通するのは、周囲の意見や目の前の現実を否定し自己の意見や思い込みに固執してしまう、つまり直面している問題への捉え方を変えられない人である
間違った勝利の条件を組織に強要するリーダーは組織に混乱と惨めな敗北を誘発させているだけである。正しい勝利を得るためには正しい勝利の条件としての因果関係に最大限の注意を払うべきである
所属する人間を過保護にする組織ほど外部の環境変化や時代の転換点には脆弱である。平時には脆弱性に気づかなくても、いざ変化が求められるタイミング/戦いのタイミングが来たときにはその時点の能力到達点で持って戦うことになり、その時になって初めて脆弱性が認識される
成果を上げる集団となるためには楽しくないことにあえて真正面から正対しなければならない時がある
ある一定の事実のみから得られた結論を、全く違う事柄にも適用して全面展開をすることが'間違った空気感‘を生み出す。つまり「それとこれは話が別」であるはずの問題を体験的学習のイメージを悪用してすべてに色に染め上げることでその場の空気が醸成される。そしてそのことが本来導かれるべき結論と異なった結論に導いていく“場の雰囲気”を醸成することがある
「都合の悪い情報を封殺して無視する」「希望的観測に心理的に依存していく」ことが自分たちは絶対に大丈夫だと言う楽観的な幻想を生む
日本社会においては、集団の空気や関係性を重視するあまり本来目指すべき成果よりも関係者への個人的配慮を優先しグループシンクの罠にはまるケースが多い
都合の悪い情報を封殺しても問題自体は決して消えることはない
耳に痛い情報を持ってきてくれる人、都合の悪い可能性を警告してくれる人を避ける事は非常に大きなリスクを生み出す
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