ラスベガスパパから学ぶ最強の人生訓 第五章 「勝つこと」と「勝者になること」は違う
今日はいよいよ「ラスベガスのショー」を見に行く日である。
今回のラスベガス旅行で最も行きたかった場所の一つだ。
しかし、ショーの時間は18時〜、21時〜であり、夜の時間帯までだいぶ時間がある。
そこで、ミユキさんは地元の公共施設やお土産が買えるチョコレート工場へ行くことを提案してくれた。
「カイノミもお土産買わないといけないだろうし、観光地ばかりだけでなく、地元の人達の生活が垣間見えるところも案内してあげるわ」
フットワーク軽く、色んなところに連れて行ってくれるミユキさんには本当に感謝だ。
この提案も私がミユキさんに「アメリカ人の働き方を直接見てみたい」とリクエストし、そのリクエストに応えてくれた形のものだ。
私とミユキさんはさっそく車に乗り込み、出かけた。
まず最初に連れて行ってくれたところは、ミユキさんの元職場である。
この施設は、街の公共バスや横断歩道などを利用する高齢者のための訓練・サポートする施設である。
高齢者は街の公共施設を問題なく利用できるかの試験を受け、試験にパスすると高齢者割引などが受けれるパスポートをもらうことができるそうだ。
(日本でいうところのシルバー手帳のようなものだろうか)
施設に入るとミユキさんはさっそく元同僚達と挨拶を交わし、談笑を始めた。
その間、私は施設をぐるりと回った。
ひと通り見終わったところで、ミユキさんのところへ戻ったが、さっきとは違う同僚と談笑していた。
その同僚とはその後、約30分ほど談笑しており、なかなか話が終わらない。
日本人的感覚ではあるが、友達が自分の職場に来た時は、挨拶や若干の世間話などはすると思うが、他の人の目があるのであまり社員の人目につくところで長々と話をしたりしないと思う。
しかし、アメリカ人はこうしたことはあまり気にしておらず、「自分の仕事をキッチリやっていれば問題ない」と自信たっぷりに答える。
日本でも、建前上は同じ事を言うが、どうしても周りからどう見られるかを気にする傾向が強く、堂々と長話する人は少ない。
そうこうしているうちに、私も談笑に加わり話し始めることとなった。
ミユキさんはその同僚に私のことを簡単に説明してくれた。
「この子は日本から来た私の親戚なの。1週間ほど滞在する予定なんだけど、いま色々案内してあげてるの」
ミユキさんは、私のバックグラウンドやどういう繋がりの親戚なのかを説明してくれた。
するとその同僚は言った。
「へぇ〜、そうなんだ。俺も今度彼女と一緒に日本旅行に行きたいと思ってるんだ。道路をマリオカートの格好して走るやつあるだろ?あれをやってみたいんだよ笑」
と無邪気に笑いながら言った。
(その同僚は警備員らしく、腰には拳銃が備えられていた)
するとミユキさんがすかさずこう言った。
「Instagram交換したらいいじゃん!日本に旅行に行った時にカイノミが色々教えてくれるわよ〜」
と促してきた。
私は内心こう思った。
(え?なんか展開早くない?
な、なんだ、このフレンドリーさは・・・?
ミユキさんがフレンドリーなのか、それともアメリカ人はだいたいこういうノリなのか・・・?)
日本では陽キャラで売っている私も、若干戸惑いながらではあったが、彼としっかりInstagramを交換し、日本で会うことを誓った・・・。
そうやってミユキさんの元職場をあとにし、次に私たちはコミュニティセンターを訪れた。
ここは体育館やプールなどがある施設で、365日中、300日は晴れているラスベガスでは、特に夏場は危険な暑さになることから、市民はこのような屋内施設で運動しているとのこと。
これらの施設は日本と同じように市民であれば格安で利用できるとのこと。
やはり市民としてこういった施設は助かるが、日本と違って、人口が増加しているラスベガスだからこそ施設利用者も多く、維持していけるのであろう。
コミュニティセンターを見学した後、ミユキさんは「Ethel Mチョコレート工場」に連れて行ってくれた。
このEthel Mは、M&Mやスニッカーズなどで知られるチョコレートの会社が展開しており、上位ブランドとして、「Ethel M」をここで生産しているそうだ。
(このチョコレートブランドは、二代目社長が立ち上げたブランドで、Ethel Mというブランド名は、母の名前(初代社長の妻の名前)がEthel Marsであったことから、Ethel Mというブランド名にしたとのこと)
私は日本へのお土産用に配りやすい小分けになっているタイプのチョコレートを2袋分購入した。
チョコレートを日本に持ち帰るにあたり、チョコレートの溶ける温度についてレジ係のお兄さん聞いてみた。
お兄さんによると、チョコレートは気温が24度ぐらいになるとかなり柔らかくなり、27度を超えるとかなりドロドロに溶けてくるそうだ。
今晩観に行く予定のショーについては、
21時からのチケットをミユキさんが予約してくれており、その前に一旦家に帰り食事をしてから会場へ向かうことになった。
私たちは一旦家へと向かった。
家に帰るとパパがいつものように明るく出迎えてくれた。
「OKAERI〜、Are you hungry?」
私たちは1日中動き回っていたこともあり、お腹ペコペコだった。
「Yes, Yes、I'm very hungry!」
私は、お腹をさすって腹ペコのジェスチャーをした。
「オーケー、ステーキの残りがあるから、それ食べたらいいよ」
パパはさっとテーブルの上に準備してくれた。
BBQステーキの残りであったが、時間と共に肉が熟成され、さらにタレがじっくり染み込み、これが激ウマだった!
ステーキがうますぎて、ご飯おかわりを2回もしてしまった・・・。
食事を終えると、パパがいつものように聞いてきた。
「コーヒー飲むかい?」
私もだんだん慣れてきて、少し厚かましくも当たり前のように答えた。
「Yes, Please!」
ショーの時間までまだ時間があったので、私とパパはいつものように話を始めた。
ラスベガスに滞在してすでに4日が経っていたが、パパから本当にたくさんのことを教えてもらっている。
私はこれまで外国語を勉強してみたり、ビジネスを学ぶための学校へ行って自分で会社を作ってみたり、人脈を広げるためにいろんな集まりに参加してみたり、人生を切り開きたくて様々なことにトライしてきた。
しかし、今のところ空回りしているようで、なかなか成果が現れていないような気がして焦りを感じている。
そこで、私の悩みをパパにぶつけてみた。
「パパ、僕もいろんなことに挑戦して成功を目指してきたけど、自分が思い描いていたのとは違って、なんだかうまくいっていないような気がするんだ。パパはこれまでどういう未来を描いてその方向に進んでいったの?」
パパは遠くを見つめながら言った。
「人間は目の前のできごとに左右されやすいから見失いそうになるけど、大事なことは短期的な成果にとらわれず、長期的な成功を考えるということが大事になるだろうね。
短期的な目線でいると、目の前の利益を求めてしまってどうしても自分が損することができなくなってしまう。一時的に目先の利益や満足は得てるかもしれないが、長期的に見てそれが本当の勝者へとつながっているとは限らないんだ。
本当の勝者というのは、単に目先の利益や勝利にこだわらず、長期的に自分や他人にとってどうしたら価値が最大になるかを考えるんだ。
だから、時には短期的な利益や勝利を手放したりして、それが結果的に信頼や尊敬を得ることができ、全体での成功につながったりするんだよ。
つまり「目の前の競争に勝つこと」と「本当の勝者になること」は違うということなんだ。
人によっては感情に支配され、目の前の人に勝つことに固執して、結局トータルで見ると損してるような人もいる。
人生の本当の意味を考え、長期的に成功するためにはどういう対応するのか冷静な頭で考えることが重要だね。
損な役回りであっても人のために努力していれば、将来的には周囲からの評価が高まり、社会的な自身の価値の価値も上がっていくと思うよ」
時計を見るとすでに夜の7時を過ぎ、外はすっかり暗くなっていた。
私とミユキさんは身支度と整え、ショーを観るため街へと向かった。
ミユキさんがいつものように軽快に車を走らせ、街の中をすり抜けるように目的地に到着した。
本日のショーが行われるホテル「New York, New York」である。
ホテル「New York, New York」は、その名の通り、ニューヨークの街をホテルの中に再現している。
そして我々はついにショーが行われる会場に到着した。
本日私たちが鑑賞するショーはこれだ・・・、
シルク・ドゥ・ソレイユによる「Mad Apple」だ!
チケット購入時の解説によると、
スタンドアップ・コメディを軸にフリースタイル・ラップと、アクロバット、音楽、ダンス、コメディ、マジックが組み合わさった、シルク初のバラエティショー。とのこと。
開演の前には、観客もステージの上に上がってお酒を飲んだり、記念撮影ができるとのこと。
開演前にステージに上がってみると、観客は記念撮影をしたりお酒を飲んだりしていた。
ふと隣を見ると、やけにファンシーな格好で、ポーズを決めている人がいたので、声をかけてみた。
「Hi, How are you?」
すると、
「Hi, I'm Good〜!How are you〜?」
とても元気に、満面の笑みで答えてくれた。
さらに彼女はとても明るい声でこう続けた・・・、
「Welcome to Mad Apple〜!」(ようこそ!Mad Appleへ!)
私はこの時、この女性をステージ上で案内をするちょっとオシャレな案内係の人だと思った。
しかし、開演に近づくにつれて、音楽のボリュームが大きくなり、さきほどの彼女と数名の人たちが音楽に合わせて踊り始めたのだ!
なんと、さきほど気さくに話してくれた女性は、ショーに出演するキャスト(ダンサー)であったのである!
ちなみに、左奥でバケツドラムを叩いてるお兄さんは、この後、メインボーカルで会場を魅了しまくっていた・・・。
このように、キャストと触れ合う機会があるなど、ショーは開演する前から始まっていたのだ・・・!
ショーが始まってからは当然のことながら、今まで見たことのないエンターテイメントの世界が繰り広げられた!
言葉や写真のみでは伝えることが難しいが、本当に素晴らしいショーで一生忘れられないものとなった。
一生に一度はラスベガスのショーを見ることを強くオススメする。
ショーが終わった後、主役のコメディアン2人がお客さんのお見送りと記念撮影をしていた。
左側のコメディアン「ニッキー」に私が日本から来たことを伝えると、
「コンバンワー、ワタシは、シュヤクのニッキーですっ!パーティーすきー!ハジメマシテー!アリガトウゴザイマスー! You got baby?」
と、言っていた・・・。
こうしてラスベガス市民の暮らしぶりの調査、ラスベガスのショー鑑賞の1日が終わったのである。
第六章へ続く・・・。