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複雑な《ハプスブルク家》が面白いほどよく分かる2冊の本  NO.②-前半

こんにちは、komakiです。


前回、《ハプスブルク家》の全体像と主要な事件や出来事、人物が理解できるおすすめの本をご紹介させていただきました。


これで、なんとなくオーストリアやスペインの歴史と《ハプスブルク家》がどういったものかがわかりました。
(答えられはしないけど、頭の整理ができました)


次は、中でも奇妙で魅力的な一家の人物像を深掘りしたいと思います。



◆参考文書

この2冊の本を2回に分けてご紹介させてもらいます。
→長くなってしまったので3回に分けます。


①  全体像をつかむために読んだ本
     □図説 ハプスブルク帝国 
②  絵画を元に人物像と婚姻関係などを深掘りするために読んだ本
    ■「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」


“ 凄まじく、難解でこんがらがった家系図 “を持つこの一族のことを理解するのにぴったりな本に出会えたのでご紹介したいと思います。

この2冊で《ハプスブルク家》の一通りの歴史や事件など網羅できた


歴史に詳しくなくても解りやすく、《ハプスブルク家》がより魅力的に感じられる本ですのでぜひご参考になさってください。


*《ハプスブルク家》とは何かは是非この記事で確認してみてください



◆ハプスブルク家とは?

一般的に2手に分けて言い表される
●オーストリア・ハプスブルク家  以下(オ=ハプ)
スペイン・ハプスブルク家   以下(スペ=パプ)



「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」

著者:中野京子





12人の《ハプスブルク家》に関わる人物の肖像画を元に、
画家との関わりと共に“ 名画を読み解く “解説がされた本です。

戦争は他の者にまかせておくがい、
幸いなるかなオーストリアよ、汝は結婚すべし!

という家訓を持つ《ハプスブルク家》であるが、

一族の“ 血族結婚  “を繰り返した結果、
で血を受け継いでいった結果、肖像画で分かる通り、
その顔には遺伝的な特徴があります。

それは鼻が「鷲鼻」「顎がしゃくれている(受け口)」であること。

そして、女性は健康で多産であるが、生まれてくる子は弱体質で育つ子が少ないこと。


【内容】

血族が濃さを増すごとに、一族の奇妙で奇怪な人間性になぜか一種の魅力を感じる。

そんな一族の肖像画などの絵画を、ゴシップ的に著者のセンスのある言い回しで、とても興味の惹かれる内容で説明されています。

永きにわたり、“ 血族結婚  “を繰り返したハプスブルク家の中でも、選りすぐりの「強烈なインパクト」を持つ王や王妃の「肖像画」と政略結婚の背景。
人物像を画家と王家との関わりと共に、肉欲で血みどろなエピソードなエピソードなどを軽快に読み解いてくれています。


【感想】

私は、中野京子さんの文章と独自の読み取り方が大好きなのですが、
やはり読みやすい!!
スラスラ読めてしまう流れるような文章と言葉のチョイス。

その上、紹介する人物を「象徴するような」エピソードや事件の歴史などを“詳細な内容“で書かれているのでその知識の多さに脱帽です。

この本は《ハプスブルク家》歴史や血縁を学びつつ、より一層彼らのことが好きにさせてくれる本でした。



せっかくなので、私がこの本で学んだ事を少し紹介していきたいと思います。


◆絵画と一緒に一族を整理する


第1章 アルブレヒト・デューラー 『マクシミリアン1世』


【人物】
マクシミリアン1世1459 - 1519)(オ=ハプ)
:オーストリア大公ハプスブルク家6人目のローマ王(在位:1486 - 1493)
:神聖ローマ帝国皇帝

【血縁】
父:
フリードリヒ3世(オ=ハプ) /
 :ハプスブルク家5代目ローマ王(在位:1440 - 1493)
 :神聖ローマ帝国皇帝(戴冠:1452年3月19日))
母:エレオノーレ・フォン・ポルトゥガル/ ポルトガル王女

妻:マリー・ド・ブルゴーニュ/ブルゴーニュ女公
子:フェリペ1世[フィリップ美公](オ=ハプ)→(早世)
  →(後)*フアナ/カスティーリャ女王と結婚         [*第2章参照]
  (息子)*皇帝カール5世 
娘:マルグリット・ドートリッシュ (オ=ハプ)
 →(後)フアン/カスティーリャ王太子(早世)と結婚


【特徴】

  • 「中世最後の騎士」と呼ばれた(治世26年で25回も遠征をし自ら前線にたち騎士のらしく戦ったため)

  • 円満で幸福だった

  • 神聖ローマ帝国史上初めて“ローマで戴冠式“を挙げることなく
    「ローマ皇帝」と名乗った

  • 「二重結婚作戦」で後世のためにスペインを手に入れるための種を蒔いた


【血みどろエピソード】
◉汝は結婚すべし!
>>>episode1   二重結婚でスペインに種を蒔く    

息子と娘を2人共にカステーリャ王国の子と結婚させる。

娘)マルグリット(オ=ハプ) ー フアン王太子
                 ↓
                 ↓
                [ 半年で急死 ]

息子)フィリップ美公(オ=ハプ) ー(後)*フアナ王女
                                                                              

                 ↓
                [ カステーリャ女王に即位]
フィリップ美公が勝手にカスティーリャ王フェリペ1世」を名乗る
                                                                              

                    ↓
                [ 父アラゴン王が死去]
                                                                              

                    ↓
                [ 息子カルロスが王に即位]

*スペイン王=カルロス1世カール5世 )の誕生により
スペイン・ハプスブルク朝の時代が始まる


【絵画】

画家デューラーがこの絵を完成させた頃にはすでに皇帝マクシミリアン1世は亡くなっており、スケッチした時すでに病魔に襲われていたのだろう。
戦争に明け暮れ、息子を無くした皇帝の晩年の顔はこんなにも疲れていたのか。

マクシミリアン1世のは借財もあ、画デューラーには報酬が未払いのままであった。

この絵の『未払い分』を回収するためにカール5世の戴冠式に直接出向いて請求した。
(しかし、これは新規開拓も兼ねての旅行の途中に立ち寄ったのだ。妻も連れてまる一年、ネーデルランドを周遊したと言う)


孫に未払い分を請求しにわざわざ出向くなど、金勘定に神経質で、自分の仕事に自信のあったデューラーならでは。この絵の価値に『未払い分』を回収できるほどの自負があったのだろう。



第2章 フランシスコ・プラディーリャ 『狂女フアナ』


【人物】
フアナ(
1479- 1555)
カスティーリャ女王


【血縁】
・父:
フェルナンド2世 / アラゴン国王
    フェルナンド5 世 / カスティーリャ王
・母:
イサベル1世 / カスティーリャ女王
・兄:
フアン →(早世)

・夫:
フィリップ美公(オ=ハプ) →(死去)
・子:
*カール5世 (=カルロス1世)(オ=ハプ)(スペ=ハプ)/
  
→(後)                  
  :ハプスブルク家第3代神聖ローマ帝国皇帝(在位:1519 - 1556)
         :初代スペイン国王カルロス1世(在位:1516 - 1556)
        [*第3章参照]


【特徴】

  • 精神異常により『フアナ・ラ・ロカ(狂女フアナ)』と呼ばれ、芸術作品の題材となることが多い。

  • スペイン王室のヒロインといえばこの「フアナ」
    (女王イサベルよりも、悲劇や狂気が優っているからでしょうか)




【血みどろエピソード】

>>>episode1  夫に恋い焦がれた人生

才色兼備のフアナと美男子のフィリップは恋に落ち始めは幸せだったが、世継ぎのカール5世を産んだ頃から、夫の愛は尽きた。
それでもフアナの方は愛し続けた。女中の中に夫の愛人がいる事を知り、女の髪を鋏で切り「あのスペイン女はおかしい」と噂が流れた

>>>episode2  夫に恋い焦がれた人生

フィリップが急死してしまい、現実を受け止めきれないフアナは、棺に入った夫の遺体と共にスペインの荒野で「呪われた行進」を何日も続けた。
生き返っていないか何度も棺を開けさせて確認した。

>>>episode3  父に退位を迫られ死ぬまで幽閉される

29歳から75歳までの亡くなるまでの間、父により幽閉される。
「呪われた行進」が許されるわけもなく、父のカステーリャの実権を握られ退位を迫られる。幽閉中に狂気の発作は治るも死ぬまで「女王の座」は明け渡さなかった。たとえ、肩書きだけでも。


【絵画】

フィリップ美公
の突然死に伴い、本人が望んだ墓地グラナダに運ぶ長蛇の行列。だが皆のその顔は、疲弊の色を躊躇なく出しまっくっている。
女王を前にして・・・
その原因はカスティーリャ女王である妻フアナにあった。

『フアナ・ラ・ロカ(狂女フアナ)』
政略結婚にかかわらず、夫に恋い焦がれた彼女は夫の死が受け入れられず、生き返るかもしれないと、半年ほどの間、家臣たちに棺を担がせ、歩き彷徨った。たまにミサを行わせ続けたのだという。元々、精神不安定だった彼女だが・・・これは異常!!



第3章 ティチアーノ・ヴィチェリオ 『カール5世騎馬像』


【人物】
カール5世 (=カルロス1世)(1500 - 1558)
:ハプスブルク家第3代神聖ローマ帝国皇帝(在位:1519 - 1556)
初代スペイン国王カルロス1世(在位:1516 - 1556)

【血縁】
父:フェリペ1世(スペ=ハプ)[フィリップ美公]
母:*フアナ / カスティーリャ女王           [*第2章参照]
弟:
フェルディナント1世(オ=ハプ)/ 
  ハプスブルク家第4代神聖ローマ帝国皇帝(在位:1556 - 1564)
妻:イサベル・デ・ポルトゥガル / ポルトガル王女
子:*フェリペ2世(スペ=ハプ)/          [*第4章参照]
   スペイン国王
(在位:1556 - 1598)
娘:マリア・デ・アブスブルゴ・イ・アビス(スペ=ハプ)/
  
→(後)マクシミリアン2世の皇后


【特徴】
『顎』
でお馴染みのカール5世。 
実は「カール5世」と「カルロス1世」は同一人物(こうやって名前を変えるから歴史はややこしい)

神聖ローマ皇帝とスペイン王として君臨
<ローマ略奪>など戦争に明け暮れ自ら出陣もした

退位の際も実に賢明であり、2つの大きな領土の後継者を
●スペイン →  息子「フェリペ2世」
●神聖ローマ帝国 →  弟「フェルディナント1世」

に継がせた。とりわけ骨肉の争いを避けた賢い判断であったと思う。


【絵画】

華やかな兜に光り輝く甲冑。馬に乗り長槍を片手に英雄のような皇帝カール5世だが、この時すでに47歳。年齢を重ねてはいるもののまだまだ威厳に満ちた姿をしている。

しかし、本当のところは血だっていたと言う。
この頃、皇帝カール5世はすでに馬には乗れない状態だったと言う。

画家ティチアーノは、宮廷画家としての心得があったと言うことだ。
つまり、対象をここぞとまで美化し勇敢に高貴に見せ、肖像画がどのような目的を持つかをしっかりと理解していた。

画家「ティチアーノ」のアトリエにカール5世が来て
床に落ちていた絵筆を手渡した

という逸話が残っている。
それほど王に愛された画家ということでしょう。
それも、才能に満ち溢れ対象のいい所を引き出し喜ばせ、人に愛される画家であったからなのだろう。



第4章 ティチアーノ・ヴィチェリオ『軍服姿のフェリペ皇太子』


【人物】
フェリペ2世(1527 - 1598)(スペ=ハプ)
:カスティーリャ王国・アラゴン王国(=スペイン)国王
(在位:1556 - 1598)
:イングランド王フィリップ1世
:ポルトガル国王フィリペ1世


【血縁】
父:
*カール5世 (=カルロス1世)/         [*第3章参考]
  
ハプスブルク家第3代神聖ローマ帝国皇帝(在位:1519 - 1556)
  初代スペイン国王カルロス1世(在位:1516 - 1556)
母:イサベル・デ・ポルトゥガル / ポルトガル王女
娘:マリア・デ・アブスブルゴ・イ・アビス(スペ=ハプ)/
  
→(後)マクシミリアン2世の皇后


妻1 :マリア・マヌエラ   /  ポルトガル王女  
  ◉父方でも母方でも従妹!!
子:
ドン・カルロス →  (早世)
>>>奇行が目立ち、父から見放され逮捕監禁・自殺未遂の末、病死した

妻2 :メアリー1世 / イングランド女王[ブラッディ・メアリー]
 *
(父)ヘンリー8世(母)キャサリン(フアナの妹)(甥)*カール5世
  ◉父カール5世と母イザベルの共通の従妹!!


妻3 :
エリザベート・ド・ヴァロワ / フランス王女
>>>元はフェリペ2世の一人息子ドン・カルロスの婚約者であった
 (父)アンリ2世(母)・カトリーヌ・ド・メディシス(メディチ家)

妻4 :アナ(オ=ハプ)→◉姪
  ◉伯父・姪婚
 *
(父)マクシミリアン2世 (オ=ハプ)/→◉従弟
   第5代神聖ローマ帝国皇帝(在位:1564 - 1576)
  (母)マリア(スペ=ハプ)→◉妹(兄が娘の夫になった)  
  ◉両親もイトコ婚



【特徴】
父とそっくりな「顎」を継承したフェリペ2世
スペインを統治してスペインを『太陽の沈まぬ国』と言われるまでにした王
『慎重王』『書類王』
と呼ばれたほど、ほとんど宮廷で書類に埋もれて過ごしたものの、

血塗られた一生と言ってもいいほどだ

「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」より

【血みどろエピソード】 
フェリペ2世は生涯で4回結婚をしています。
結婚相手は、イギリス、ポルトガル、イングランド、フランス、オーストリア出身の女王や王女たちばかり。
いかに領土と地域の確立に野心を燃やし、悪役としての暴君ぶりが発揮されています。


>>>episode1   エリザベス1世に求婚
2番目の妻のメアリー1世が病気で床に伏せている間に
イングランドの女王候補「エリザベス1世」の花婿候補に立候補
イングランドと手に入れようと画策もきっぱり断られる(エリザベス1世の方がいろんな意味で上手であった)


>>>episode2   息子の婚約者を妻にした
3番目の妻のエリザベート(仏)は元はフェリペ2世の一人息子「ドン・カルロス」の婚約者だった
→悲劇的に引き裂かれた恋路がオペラの題材になったほど
オペラ『ドン・カルロ』作:ヴェルディ

>>>episode3   ノストラダムスの予言的中
フランスで3番目の妻のエリザベートとの挙式の最中に(義父)フランス王アンリ2世が死去
馬上槍試合で対戦相手の槍が兜を貫いて「眼」に突き刺さって死亡


>>>episode4

4番目の妻アナは自分の妹の娘・・・姪にあたる◉血族結婚 
→世継ぎのために多産の一族を選んだ


【絵画】

天才画家ティチアーノ
が描いた肖像画。
暗い室内にキリッとした眉と眼光鋭い眼、品のいい黒と豪華な金の装飾を施してある甲冑。センスの良さと内側から湧き出る複雑な野心を放ったこの作品を、依頼主のフェリペ2世は気に入ってなかったという。

ティチアーノの事は気に入っていたので注文は続けたが、自身の肖像画は描かせなかった。
何故なのでしょう。

「スペインの人間たちの発散する、えもいわれぬある種の暗さ陰気さ
しかもこのさと、陰気さが、男たちにあって
一種異様な性的魅力となって現れる

「美しきもの見し人は」堀田善衛(「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」)より

この言葉は的を射ている。
この異様な感覚の陰気な暗さに見るも恐ろしい怖さと相反して惹きつけられるものがある。
「一種異様な性的魅力」
これを表現できるのが、ティチアーノの凄さなのかもしれない。



第5章 エル・グレコ『オルガス伯の埋葬』


【人物】
フェリペ2世(1527 - 1598)(スペ=ハプ)   [*第4章参照]


【絵画】

画家グレコ
は、フェリペ2世から1度は才能を認められ、聖堂用の絵画の注文を受けたが「祈る気をなくす」と言われ宮廷画家になるチャンスを失った。

この絵は、13世紀に実在した“オルガス伯“が死去した時に天使に運ばれる様子を描いた(伝説)
関係ないこの絵の中に実はフェリペ2世が居るという。

天上の聖人の中にフレーズという襞襟(地上で流行った襟)をつけた人間がいる。小さいが、勿論「顎」も突き出ている。
どうやらこれがフェリペ2世らしい。
なぜここに、自分を見捨てた王を描いたのかは分かっていない・・・

同時代の画家によると
「エル・グレコは彼の絵と同様、何事においても奇妙だった」

「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」より



第6章 ディエゴ・ベラスケス 『ラス・メニーナス』


【人物】 
フェリペ4世(1605 - 1665)(スペ=ハプ)
:スペイン王(在位:1621 - 1665)
:ポルトガル王フィリペ3世(在位:1621 - 1640)

【血縁】
父:フェリペ3世(スペ=ハプ)/スペイン国王
母:マルガリータ (オ=ハプ)/


妻 1:
イサベル・デ・ボルボン/フランス王女
      エリザベート・ド・フランス(フランス名)
  (父)アンリ4世・(母)マリー・ド・メディシス
子:バルタサール・カルロス (スペ=ハプ)→  (早世)
娘:マリア・テレサ (スペ=ハプ)/
  マリー・テレーズ・ドートリッシュ(フランス名)
 →(後)フランス王ルイ14世王妃


妻 2 :マリアナ・デ・アウストリア(オ=ハプ)→◉姪
  ◉伯父・姪婚
>>>元はフェリペ4世の一人息子バルタサール・カルロスの婚約者だった
 *
(父)フェルディナント3世(オ=ハプ)/
    第9代神聖ローマ帝国皇帝(在位:1637 - 1657)
 (母)マリア・アンナ(オ=ハプ)→◉姉(兄が娘の夫になった)
  ◉両親がイトコ婚 

娘:マルガリータ・マリア・テレサ
  →(後)神聖ローマ皇帝レオポルト1世皇后
  ◉叔父・姪婚
息子:カルロス
  →(後)スペイン・ハプスブルク家『最後の国王』カルロス2世



【特徴】

  • 政治には興味も能力もなく『無能王』というあだ名をつけられた

  • 美術や芸術の審美眼に長けており、祖父フェリペ2世と共に芸術の庇護者となり王室コレクションの基礎を作り上げた。


【血みどろエピソード】

祖父フェリペ2世と全く同じ血族婚をし、息子の婚約者で妹の娘と結婚した(2番目の妻)。

>>>episode1   マルガリータの死

それまでのとんでもなく濃厚な血族婚のせいか、本人も叔父姪婚という事もあり産んだ子を次々と亡くしていき、とうとうマルガリータ本人も、21歳という若さで死去。
カルロス2世の誕生がなければ、王家を継ぐはずだった彼女の運命は、大いに狂ったと言えるのではないでしょうか。
ベラスケスが描いた可愛らしい彼女のいく末が、そんなおぞましく悲惨で短命ときたらあの“国王を見る愛らしい目“には未来がどう見えていたのか・・・

>>>episode2    呪われた子カルロス2世

待望の男児を得たフェリペ4世だが、これも血の濃さ故の最悪の末路だった。

まるで「慰み者」の道化のような姿の息子に激しく落胆
知能が低く精神も病んでいた

「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」より

長生きできないだろうと言われていたカルロス2世の奇行はフェリペ2世の死後もエスカレート。前妻のルイ14世の弟の娘の墓を暴いたり、異端審問の拷問を見るのが好きだったとか。。。
見た目にも表れている通り、彼は、この『血族婚一族』による被害者とも言えるのではないかなと思います。



【絵画】

言わずと知れたベラスケスの名画です。

この絵に描かれている、王女が後にレオポルト1世の妃となる
「マルガリータ王女」
その奥の小さな鏡の中の人物がスペイン王の
「フェリペ4世」2番目の妻「マリアナ王妃」です。
女王と侍女達が見つめているのは国王夫妻であり、画家が描いているのは向かいにいる国王夫妻なのか?鑑賞者にカンヴァスの前と後ろを描いたこの構図の意図は未だに解けていないのだそう。

ベラスケスは国王フェリペ4世に大変気に入られ、宮廷画家として厚遇され、宮廷内にアトリエを構える。画家としてだけではなく、宮廷官吏の頂点に君臨する「王宮配室長職」として大出世した


■スペイン・ハプスブルク家の完全に終焉

カルロス2世を最後に、200年続いたスペイン・ハプスブルク家は終わりを遂げた

カルロス1世(=カール5世)の誕生(1500年)
カルロス2世の死去(1700年)
ちょうど200年後・・・
5人の王を経て『スペイン・ハプスブルク家』は終焉を迎えた

「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」より


この間、『オーストリア・ハプスブルク家』はスペインを手渡すまいとあれよこれよと手を尽くすも、フランス・ブルボン家の手に渡ってしまう。

★スペイン継承戦争
スペインは、フランスが継承することとなる


>>>>>>次へ続きます。


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