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【悪霊】ドストエフスキー

2023年7月10日 
悪霊を読み終えた感想。ストーリーとしては政治の話が入っているので個人的には微妙だった。ただ、それを差し引いても面白かった。やっぱりキャラクターが魅力的。
怖い話をしていたり、怖い登場人物であるはずなのに面白い。笑える場面があり、不思議な感じ。自分の一番好きなキャラクターは何と言ってもキリーロフ!このキャラクターがめちゃくちゃ魅力的であった。自殺願望があり、国家転覆を企てる、悪いやつらの仲間?なのに憎めない。それに崇高?な思想を持っていて、真面目で哲学的な考えさせれるような事も発言する一方、承認欲求の権化になり、とにかく人に認めてもらおうとお喋りをし続ける。そんなキリーロフはとても魅力的だった。最後は。。悲しい。。( ;∀;)
ドストエフスキーは感情の落差をつくるのが上手いと思った。面白いのに、切ない。怖いのに笑える、など不思議な感情にさせられてしまう。
主人公のスタブローギンはうーんって感じだった。道化役のステパン氏は描写が多く、とても面白かった。この二人はどこか似ている節があるなと思った。それは、異常なまでの自意識。スタブローギンが本音?を語ったチホンの告白では、彼が世界の常識と自分の常識を照らして迷い、そして自分を世界の中心にしたいと強く願っている、それでいて、普通の人間(善悪の区別を理性ではなく感情で判断できる、不合理な存在)に憧れを抱いているような感じもする。自分でもどうなりたいのかわからない、理性だけで生きている男。結局のところ、彼に必要だったのは小さい時に人、特に母からの愛情だったのではないかと思った。無条件に人から受け入れてもらえる、ありのままの自分という存在を認めてくる、そんな愛情が必要だったのでは、と思った。小さい頃から思慮深く、人を観察していた、という描写があるがその時点で自分は人と違うことをかなり意識させれていたのではないかと思う。その時に母からの愛情などがあれば、ある意味不合理な存在、その時代の善悪の概念がわかるような感じになるが、愛情がない場合、感情ではなく善悪なども理屈で考えるようになるのではないか。人から認めてもらうために。
だから実はスタブローギンは人のことを意識していない風に見せた、結局一番人からの評判などを気にしていた男。だからチホンのような、周りの意見に流されない、時代に左右されない男に嫉妬していたのではないか。そしてその男は人間を洞察する力もあったのでなおさら。
スタブローギンはステパン氏に育てられたが、その時にステパン氏が変な事を背中で語った、または教えてしまったのではないかとも想像した。
この悪霊は国家転覆を狙った革命家たちが暗躍?して失敗するストーリーだが、革命ってどうゆう理由から起こるのかなと考えさせられた。大義があり、民衆などを仲間に引き入れ先導し革命が起きるものだと思っていたが、悪霊にでてくるようにな革命も歴史上にあるのかなと思った。それはピョートルやスタブローギンな男たち数人が暇つぶしや、退屈しのぎの感覚でやるような感じで。そして革命が起こった理由に関しては後乗せされているだけではないか。

悪霊とはなんだったのか?


そこなる山べに、おびだたしき豚の群れ、飼われありしかば、悪霊ども、その豚に入ることを許せと願えり。イエス許したもう。悪霊ども、人より出でて豚に入りたれば、その群れ、崖より湖に駆け下りて溺る。牧者ども、起こりしことを見るや、逃げ行きて町にも村にも告げたり。人びと、起こりしことを見んとて、出でてイエスもとに来たり、悪霊の離れし人の、衣服をつけ、心もたしかにて、イエスの足もとに坐しおるを見て懼れあえり。悪霊に憑かれたる人の癒えしさまを見し者、これを彼らに告げたり。

ルカ福音書、第8章32‐36節

悪霊 → 自分は特別な人間と思いたい自意識や、自分だけは助かりたいという自己保存欲求、そういう誰しもが持つ本能的な部分に飲み込まれた人の事ではないかと思った。


疑問

・赤いクモは何かの暗示?赤いマリもでてくるけど同じ感じ?

・ステパン氏が家庭教師時代にスタブローギンにどの程度影響力をもっていた?

・ワルラーラはステパン氏を利用していた?

・ワルワーラ夫人は超絶自己中な女なのではないか?例えばステパン氏を匿っているのも自分のプライドを満たすため。スタブローギンも自分が出世する駒だという意識があった?それを自分自身に嘘をついて愛しているような行動をとっている?ステパン氏に対しても。自分に言い聞かせるように。

・リャムシンとキリーロフが取り憑かれたように発狂したのは何故?





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