kailash

シンガポール、マレーシア、インド在住歴あり。インド名Kailash。 重工業、途上国開発事業などを経て現在熊本在住。 英語、ヒンディー語。 インド出身の世界的小説家Amitav Ghosh, the Hungry Tide『飢えた潮』の翻訳出版活動中。

kailash

シンガポール、マレーシア、インド在住歴あり。インド名Kailash。 重工業、途上国開発事業などを経て現在熊本在住。 英語、ヒンディー語。 インド出身の世界的小説家Amitav Ghosh, the Hungry Tide『飢えた潮』の翻訳出版活動中。

最近の記事

  • 固定された記事

#0 アミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』の翻訳

こんにちは、Kailashです。 いま、インド出身の世界的小説家、アミタヴ・ゴーシュの小説、『飢えた潮』の翻訳出版をしています。 未知谷さんから、今年4-5月くらいに出版予定。 チラシ、こんな感じです。 おもしろそうだと、思いませんか? インドでは、もう三十年くらい前から、広く読まれている作家。 英語だし、話も面白く、小説としての質も高いので、いまでは世界中で読まれています。 書いている小説が面白い、というだけでなく、難民・気候変動・歴史・生態系といった問題にも、深い知識

    • アミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』クラファン

      私はただいま、アミタヴ・ゴーシュの名作the Hungry Tide『飢えた潮』の翻訳出版のクラウドファンディングに挑戦しています。 https://camp-fire.jp/projects/view/632777?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show 書籍は、晩春の頃、名だたる海外文学の名作を出版してきた未知谷から、刊行されます。 the hungry tide チラシ (canva.com) 年末か

      • 渡辺京二『熊本県人』についての雑感

        いま現在、熊本に住んでいる身として、やはり渡辺京二という名前は巨大だ。 もちろん熊本に来る前から深い敬意を払っているけれど、 熊本に来てから一年近くがたち、おそらく、一人二人くらい人を介せばつながるところまでは来ていたし、それもあって、近々拙訳のアミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』が出た暁にはぜひ読んでいただきたいと思っていた。だから、先日ご逝去の報は、とりわけ残念だった。 渡辺京二さん死去 92歳「逝きし世の面影」:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

        • アミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』のことば

          人は、言葉で、真実を見出し、伝えることができるのか。 それとも、言葉は、なにかを隠蔽し、ものごとを歪めてしまう元凶なのか。 言葉以外の方法で、より嘘のない、誠実なコミュニケーションは実現できないのか。 そういったこと全てを、言葉を用いて表現するには、どういう言葉を作ればよいのか。 『飢えた潮』は、理屈っぽい小難しい小説ではまったくありませんが、 全篇を通して、人間の「言葉」なるものへの疑念と信頼が問い返され続ける小説です。 著者アミタヴ・ゴーシュは、英語・ベンガル語・ヒンデ

        • 固定された記事

        #0 アミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』の翻訳

          the Hungry Tideとベンガルトラ ~「史上最恐の人喰い虎」より~

          -- 笑い事じゃないんだよ。二十一世紀のこのご時世に虎に襲われるなんて、そりゃお前には冗談に思えるだろうけどね、ここじゃ毎週何度もおこるありきたりのことなのよ。…私ね、ずっと前から、耳に入ってきた虎の被害の記録をつけてきたんだよ。見てごらん、毎年、虎に食い殺される人が百人以上いるのは間違いないわ。しかも、これはシュンドルボンのインド側だけの話だからね。バングラデシュ側も合計したら、きっと二倍になるだろう。ということは、合計すれば、シュンドルボンでは少なく見積もっても一日おきに

          the Hungry Tideとベンガルトラ ~「史上最恐の人喰い虎」より~

          アミタヴ・ゴーシュ『シャドウ・ラインズ』

          アミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』、興味はあるけど、聞いたことの無い作家だし…と二の足を踏んでいる方もそこそこいらっしゃるのではないかと思います。 しかし、ゴーシュの小説、日本で全く読めないわけではありません。どうしようかな、と迷われている方にお勧めしたいのが、この二冊です。 『ガラスの宮殿』(小野正嗣・小沢自然訳、新潮クレストブックス、2007年 [原作2000年]) ガラスの宮殿 (新潮クレスト・ブックス) | アミタヴ ゴーシュ, Ghosh,Amitav, 自然, 小沢

          アミタヴ・ゴーシュ『シャドウ・ラインズ』

          松浦寿輝『名誉と恍惚』

          なかなか分厚い小説ですが、途中から止まらなくなり、あっという間に読み終えました。 名誉と恍惚 | 寿輝, 松浦 |本 | 通販 | Amazon 戦争でも平和でもない時代に、日本でも中国でも欧州でもない場所で、誰でもない誰かが、全てを失うところから始まる話。 時代=日中戦争は始まっており(ただし当時は「戦争」ではなく「事変」ということになっている)、第二次大戦が近づいている 場所=上海の租界 誰でもない誰か以下については、ネタバレになってしまうので、省略。 本書帯曰く、「日

          松浦寿輝『名誉と恍惚』

          エンドロールの続き (グジャラート映画)

          去年の11月に、所用があって東大のインド近代史の先生のところにお伺いした時、「こんな映画を今度日本でも上映するみたいですよ」と教えて頂いてからずっと楽しみにしていたのですが、先週末、やっと映画館で見ることができました。 映画『エンドロールのつづき』公式サイト|2023年1月20日(金)公開 (shochiku.co.jp) グジャラートの田舎の駅で、旅客向けにチャイを売っている父親の手伝いをしている少年が、一度だけ家族で映画を見に行ったのをきっかけに映画に夢中になって・・・

          エンドロールの続き (グジャラート映画)

          アミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』とベンガルの災害について

          本作の舞台となるベンガルには、毎年のようにベンガル湾で発生するサイクロンが襲来します。ベンガルはほぼ全域が標高の低い沖積平野ですから、サイクロンがもたらす高潮は内陸深くまで遡り、大きな被害を引き起こします。中でも1970年のサイクロンは、推定犠牲者30万人の大災害となり、被害の大きかった当時東パキスタンでは、レスキューの遅れ・不十分な復興支援が一つのきっかけとなって西パキスタンの中央政府への不満が爆発し、翌年にはバングラデシュとして独立するに至りました。ほかにも、私の手元にあ

          アミタヴ・ゴーシュ『飢えた潮』とベンガルの災害について

          #1 アミタヴ・ゴーシュについて

          海外の大型書店で、小説がならんでいる Fictionのコーナーにいくと、きっと、'G' の欄に、アミタヴ・ゴーシュの作品が何冊か並んでいると思います。 アミタヴ・ゴーシュ - Wikipedia 私の知る限り(というのは実際のところアジアの書店ばかりですが)、海外の小説コーナーは、日本のように、「イギリス文学」「ロシア文学」「フランス文学」「中国文学」というようなエリア別の細切れ展示方式を採用していないように思います。SFとか、推理小説、ファンタジーを独立したコーナーにし

          #1 アミタヴ・ゴーシュについて