これからの財務経理に求められること~会計×戦略 今後5年10年で身につけたいスキルを考察する〜
(最終更新日:2023/5/12)
はじめまして!
本Noteは会計士として監査・コンサル、投資銀行、事業会社を経て独立した筆者が、「経理を中心としたバックオフィスの皆さんのスキルアップ(=年収アップ)に何が必要か」という問題意識をもとに、常日頃感じていること・考えていることについて、様々な情報・戦略を纏めているものです。
どんな人に読んでほしいか
本Noteは、以下のような意識をもっているけど、どうしたらいいかわからない、、、という皆さんに読んでいただきたいと考えています。
本Noteが皆さんのキャリアを考えるきっかけになれば、ひいては部門や会社をもっとよくしたいという取り組みのきっかけになれば、この上なく嬉しいことです。
問題意識
なぜ今、このようなことを考えなければいけないのでしょうか。マクロ(私たちをとりまく環境)とミクロ(経理という仕事の特徴・現状)の視点で纏めてみました。
①マクロ環境の変化
業種や業態、規模に関係なく、AIの発展、働き方改革、副業解禁、人生100年時代でのキャリア観、コロナの影響を受けたリモートワークの発達、世界経済の変化など、世の中のイベント・経済事象や政策、テクノロジーの変遷から、日常生活や仕事のスタイルが受ける影響は年々大きくなりつつあります。
その中で、特に注目すべきはテクノロジーの進化です。freeeやマネーフォワードといったSaas型、会計ITベンチャーに代表されるように、経理機能のIT化はこの数年で大きく効率化・省力化されつつあり、更に今後この傾向は大きく進行すると考えられます。
また、AIの普及により会計や税務に携われる仕事は、今後「なくなる」仕事の代表格とされています。実際にどこまでなくなるのか?なくなる部分は単純作業だけで、判断を伴う意思決定はまだ大丈夫では? など色々な意見や議論があるのはさておき、筆者も日々仕事をしていて、仕事の「内容」「やり方」が少しずつ変化していっているのを実感しています。最近だとChatGPTのニュースもよく目にするようになりました。バックオフィス業務はこれからとんでもない変革期に突入するかもしれません。
会計に携わるビジネスマンとして、自らも考えや行動を変化していかなければいけない、非常に大きな課題だと考えています。
この変化のタイミングで、会計や経理がどのように変わり、何をしていくべきか?というのが大きな背景テーマになります。
②財務経理は「きつい」「つまらない」「安い」というイメージ
検索サイトで「経理」や「財務経理」でサーチすると、関連する検索ワードとして「経理 仕事 なくなる」や「経理 仕事 つまらない」などネガティブな表記が並びます。個人的には、これは非常に悲しいことです。。
財務経理・管理の仕事というのはどんな会社にもなければいけない機能ですが、地味だし、フロント職のように売上を獲得することができない、どちらかというと「コスト」と考えられてしまう仕事です。誰からも感謝されずに、給料も安い、仕事もつらい、というイメージは、業界として昔からあった課題だと思いますが、あまり深く議論されていなかったとも思います。(職人的なイメージはかっこいい?)
どんな仕事にも面白いと感じるところ・つまらないと感じるところはあるはずで、財務や経理の面白いと感じるところに、もっと光を当ててみるのはどうでしょうか。フロントを支える立場として、数値を作成する立場として、もっと会社をよくするために、また、自分が成長するために、どのようなことが考えられるでしょうか?
③自信の体験から~経理・管理部はもっと進化すべき~
私自身、クライアントに接してきた経験として、財務経理部や管理部の方は「真面目」というイメージを強く持ちます。少ない人数の中なんとか期限内に終わらせるよう、皆さんせっせと働かれていることは、現場で見ていても本当に頭が下がります。反面、自分の守備範囲で精一杯になり、全社的な目線を持ちにくい実態も事実です。(辛辣な言い方ですみません、、、)
会社の全体や数値が見えるから、能動的に「どうしたら会社がよくなるか」を考え、主体性をもって行動することが、イケてる経理・管理部だと筆者は考えています。
この原因は、もちろんやる気がないという人も一定数いますが、そもそも何をやればいいかわからない、どうしたらいいかわからない、会社にそこまで必要とされていない・言われない、といった様々な背景があります。
また、「中小企業やベンチャー企業のバックオフィス能力は後回しにされる投資である点」があげられます。事業の多角化、グローバル展開、デジタル化には積極的な投資がされる反面、会社の成長やマネジメントの要求・要望に、相談役であり牽制機能をもつ経理・管理がうまく追いつけていないと感じています。
つまり、会社の土台を支える立場であるはずの経理・管理部が、思うように機能を発揮できず、存在価値(プレゼンス)が相対的に低くなってしまっているのです。
会社が投資してくれないのであれば、ある程度自分でスキルアップ・年収アップをするしかありません。しかし、前述したように、何をやればいいかわからない、どうしたらいいかわからないという潜在的なニーズも大きいと考えています。
本Noteでは、この「どうしたらいいかわからない」にスポットライトを当てたいと考えています。
つまり、基礎的な考えはもちろん、方法論としての実践、頭の体操としてのコンテンツ提供、自分の会社に置き換えてみたらどうか?という視点の提供が目標です。
頭の体操〜会計思考〜
ここで具体例を用いてみましょう。
今回、コロナの影響で自分の会社のPL・BS・CFにどのような影響がでたか、網羅的に回答できる経理・管理部の方はどのくらいいるでしょうか?
実は、なんらかのイベントが起こった際に、それが会計数値にどのように影響を及ぼすか、網羅的にかつ正確に回答できる方というのは、上場企業の経理でも少ない(経理マネージャー以上の方はできると思いますが)と考えています。
なんとなく売上の減少→固定資産の評価や株式の評価に留意する、といったことが連想できる方は、一定数いらっしゃると思いますし、ある程度会計に趣がある方ですね。適当に列挙するだけでも以下の影響が考えられます。
実は、これらは「言われれば確かにわかるけど、どこかに書いてあるわけでもないし誰も教えてくれない」という、いわば「暗黙知」と呼ばれるものです。
会計士は財務・会計・会社法・税務・経営の知識をある程度網羅的に学んでいて、かつ色々なクライアントに接しているので、なんとなくできる人は多いかもしれません。
ブラックボックスの暗黙知=「考え方の考え方」を理解する
ここがブラックボックス=付加価値であることは、会計士のみならずさまざまな「士業」「プロフェッショナル職」の報酬が高い理由に直結しています。
筆者は、このブラックボックスを少しずつ紐解いていくことが、経理のスキルアップ・実務能力の向上に大きく役立つことを確信しています。
この「考え方の考え方」を学ぶことがコツであり大事な点です。
まとめ
これらの問題意識・課題を解決する策は、ずばり「将来のキャリアの方向性を模索し経理+αのスキルを身につける」という点につきると思います。
自分のスキルを向上させるという考え方は、自分の身を守るのみならず、会社にとっても価値のある人材になる点で、必要不可欠な考え方です。
しかし、どのようなスキルを身に付ければいいかわからない!というご意見があるのも事実でです。
次記事から、具体的に何をすべきか考えていきましょう。
次回記事も合わせてご覧ください!
こちらのサイトにも、Noteにはない記事を載せていますので是非どうぞ!