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怪獣の戯言①〜「Not Bound by Age」

新時代はなんちゃらかんちゃらとAdoさんが歌っている。
その新時代も猛スピードで色褪せたものになる。進歩であり退化とも呼ぶか。

「今の若いモンは〜ワシの若い頃はよぉ〜」と批判する自称大人たち。
今この年になり、それは"That's me"。片足突っ込んでいると思う。

COCO'S(ファミレス)で作業していた。
色々とあり友達の友達の結婚式の余興のムービーを友達に頼まれて
縁もあり僕が作ることになり、自分で作りながらほぼ他人の旦那の
サプライズメッセージに感動して半泣きで編集していた時のこと。

隣の席に女子高生2名。勉強をしている、、のか?
机の上には各々の教材、フライドポテト、コップ(多種)。
そして2台のiPad、手にはスマホである。

ほぼ無言。各々の目の前にiPadを立てて、映像を流しっぱなしで
スマホを弄っている。会話はほぼない。

こんな光景はファミレスでよく目にする。
短時間でどれだけの情報を同時にぶち込もうとしているのだ。
ひたすら無言でスマホ。スマホ、、スマホ、、ポテト、、スマホ、、

僕の高校生や大学生の頃はガラケー。映像なんて見れない時代。
とにかく目の前にいる人と時間を共有し、目を見て会話をした。
それが当たり前だったし、それしかやる事がなかった。
会話の中でいろんなことを知る。そうゆう考え方もあるのか。
自分の知らない自分もいるのか。お互いの深い所を共有する。言葉で。

きっと深みや繊細さは必要ないのだろう、新時代。
無限に情報としてある比較対象の中で悩みを解決し自己完結できる時代。

手軽に音楽を聴ける。好みのイントロじゃなければ飛ばされる。
分かりやすい言葉とメロディーで始まればBGMとして
プレイリストに入れてもらえる。

歌詞をじーっと何度も読んで
やっと自分なりの理解を見つけれた瞬間の気持ち良さが音楽にはある。

そんな時間もないのだ。もっと他に面白いことは溢れている。
そしてこれは否定しているわけでもなく、自分もこの時代の一部の
歯車として在る。好みのイントロじゃなければ5秒で容赦無く飛ばす。
より繊細で思考された楽曲は10秒あれば刺せる。
それを容易に作れる若い音楽家(天才)も溢れてる。
無限の比較対象を織り交ぜて完成される新しい音楽も溢れている。

ファミレスの高校生たちを横目に考えていた。
今の若者にも届く自分の音楽はどんなだろう。と。

そんな風に考えているとあっという間に数ヶ月経ってたりする。
ふと思う。音楽を始めた頃、そんなこと考えたっけな。と。
ただひたすらに自分の内から溢れた言葉をメロディーを
1mmの迷いもなく絶対売れる!と確信しながら曲を作っていた。
よし!これは自分しか作れないだろ?!真似してみろや!と。

そんな自分はどこにいったのだろう。
無限の比較対象の中で溺れていたのは自分だ。

ただただ、自分の音楽を"追求"ではなく"表現"していこう。

そう改めて思えた時、やっと人の目を見て話せる感覚になったよ。
"音楽"が目の前にいるのに、iPadを開きスマホをいじり、ポテトをつまみ
誰かの記した教材を並べて満足していたのは僕だったのだ。

音楽とやっと目が合った。

「さぁ、何を話そうか?」

Kaijyu


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