見出し画像

#4 介護保険の第一歩はお年寄りセンター

近所の主治医から認知症専門病院への紹介状をもらった時に大きなショックをうけた母。でも、実際に専門病院にいってみると不安が軽減されたのかケロリとしていた。行動は人生を前に進めてくれるものだ。

アルツハイマー型認知症という診断が下ったため、介護保険の申請をすることにした。住んでいる自治体の包括支援センターを調べて母と訪問する。
あえて母には、介護保険がどうのこうのと言う話はしなかった。
話をしたとて、あまり気が進まないものだと思うから。
近所の買い物ついでに立ち寄ることにした。母には「お母さんに万が一のことがあった時のために、地域のサポーターさんとつながっておく必要があるからね」とだけ伝えた。
 
地域により包括支援センターの名前は様々だと思うが、母の居住地ではお年寄りセンターという名前だ。マンションの1階に事務所がある。私たちは個室の待合室に通され、相談員の方と面談。介護保険申請のための下準備として、母の個人情報を預ける意味合いの時間になる。これからお世話になる可能性のある重要なご近所さんゆえ、丁寧にご挨拶をして帰ってくる。お年寄りセンターからは、万が一のための連絡先が書いてあるキーホルダーをいただき、早速それをバッグに付けて帰った。
 
この初動は極めて重要だと考えている。なぜなら、介護保険は家族を助けてくれる人的資源、また経済的支援につながるからだ。そして、いざという時に申請したのでは間に合わないことが多い。この日申請手続きをして、介護保険の認定が下りるまでは約二ヶ月。だからこそ、まだ介護ではない段階であっても、包括支援センターにエントリーしておく事は重要なのだ。まだ若いお父様やお母様であったとしても、要介護の手前の要支援の認定があればケアマネージャーさんに相談することができる。急な怪我や病気、脳梗塞などで脳血管型の認知症が急に進むケースも少なくないため、早めのエントリーをお勧めしたい。

親御さんと離れて暮らしている方であれば帰省の際に調べて訪れてみるのはどうだろうか。少しは気が楽になると思う。協力者となる社会のリソースとつながることで一歩前進する。そしてその一歩は確実に安心につながっていく。
 
福祉課の認定員が家に面談に来た後、母は要支援1の認定を受けることになった。小学校で言えば1年生。介護保険の7段階ある要介護認定のうち最も軽度な状態で、日常生活における基本的な動作は自分で行えるものの、部分的な支援が必要な状態、とされた。使えるようになるサービスは金額にして月額約五万円分。そのうち自己負担は1割ないし、所得に応じて2〜3割負担となる。
 
最初に出会ったケアマネジャーさんは、いかにもラガーマンでしたという感じのがっしりとした若い男性。若い男性が嫌いではない方の母は、ニコニコしながら彼を迎え入れた。若いお兄さんが来ると、とりわけ母はよそいきのコミュニケーションスタイルになっていく。そういうところは少し嫌だけれど、楽しそうなのでよしとしよう。最初のケアプランとして紹介されたのは、訪問リハビリだった。デイサービスなどは介護っぽい感じがして母も気がすすまないでしょうという配慮だった。なかなか良い出だしかなとその時は思えた。



いいなと思ったら応援しよう!