そして、誰もケアマネをやらなくなった8
「非術師は嫌いかい?夏油君。」
「分からないんです。呪術は、非術師を守るためにあると考えていました。でも最近、私の中で非術師の‥価値のようなものが揺らいでいます。弱者故の尊さ。弱者故の醜さ。その分別と受容ができなくなってしまっている。非術師を見下す自分、それを否定する自分。術師というマラソンゲーム。その果ての映像(ビジョン)があまりに曖昧で、何が本音か分からない。」
「どちらも、本音じゃないよ。まだ、その段階じゃない。非術師を見下す君。それを否定する君。これらはただの思考された可能性だ。どちらを本音にするのかは、君がこれから選択するんだよ。」
『呪術廻戦』九十九と夏油の会話です。
私は、2013年から高齢者を対象にしたケアマネジャー、2015年から障害者を対象にした相談支援専門員を、仕事の1つとしてやってきました。
その過程で「介護福祉士」「社会福祉士」「精神保健福祉士」「公認心理士」「保育士」等の試験に合格し「主任ケアマネ」「主任相談支援専門員」の資格も取得してきました。
しかし、レベル上げをしていく度に、この仕事のネガティブな面ばかりが浮彫りとなり、この仕事は、若くて能力のある人がやる仕事ではないという結論に、現在は至っています。
①求められる仕事に対して、給料が安い
②精神的に疲弊する
③資格の維持が大変
ケアマネがケアマネを辞める要因を分析すると、上記の3つに集約する事が出来ます。
①に関して、多くのケアマネの会社は、ケアマネ事業所単独ではなく、ケアマネ事業所とともに、ヘルパー事業所やデイサービス事業所を併設しています。
その理由は、ケアマネ事業所単独では、収支をプラスにする事が出来ないからです。
要介護1・2 :12,380円
要介護3・4・5:16,085円
上記が、ケアマネが稼ぐ事が出来る報酬です。(東京23区の場合)
ケアマネの有効求人倍率が4倍を超え、ケアマネ不足が深刻化する中、2024年4月の介護保険改正において、私は、報酬の大幅な上昇を期待していました。
しかし、期待に反し、上がった報酬は、80円だけでした。
この時、この業界が「終わっている」と感じたのは、私だけではないはずです。
仮に、30人の利用者(要介護者)を担当していたとしても、月408,180円しか稼ぐ事が出来ません。(介護度内訳:要介護1・2:20人、要介護3・4・5:10人)
400,000円しか稼ぐ事が出来ないと、給与を300,000円支払ったとしても、残りは会社が支払う社会保険料(健康保険・厚生年金等)で、殆どなくなってしまいます。
給与の総支給が、300,000円ですと、手取りは250,000円になります。
月250,000円の中で、都内において、パートナーと子どもを養っていく事は、最早出来ない経済状態となっています。
つまり、月400,000円の稼ぎでは、パートナーと子どもを養う事も、事務所の家賃を支払う事も出来ないのです。
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