『介護の日本語』一年生③心構え
こんにちは。
日本語教師で介護福祉士の内藤です。
毎日noteを更新中!!
今回は『介護の日本語』を教え始めて
そろそろ10年になりますので、
振り返って、1年目に苦労したことなどを
書こうと思います。
前回、カリキュラムを作る上で
気を付けることについて書きました。
今回は、はじめて『介護の日本語』に携わった時の心構えについて書こうと思います。
はじめて『介護の日本語』に携わったとき、
決めていたことが一つあります。
『介護の技術指導はしない』ということです。
介護の技術指導とは、
例えば、おむつ交換の仕方やパットの当て方、
移乗介助や入浴介助のやり方などです。
私は介護現場で経験を積んだ後に日本語教師に
なったので、介護の技術指導をしようと思えば
できますが、
初めて『介護の日本語』のカリキュラムを
作った際に『介護の技術』を教えるような
内容を組み込むつもりは全くありませんでした。
いま思うと、どのような思考回路を経て、
この考えに至ったのか思い出せないのですが、
10年前からいままで変わらない
考えの一つです。
私の介護現場の経験を活かすことできるのに、
どうして介護技術を教えようと
しなかったのでしょうか。
答えは・・・
介護技術を教えることは
日本語の教育の領域ではないからです。
介護技術を教えることは
『日本語教育』の中にある
『介護の日本語』ではなく
『介護』の領域です。
間違っても知ったかぶって日本語教師が学習者に
教えていいことではありません。
介護経験があったとしても教えていいものでは
ありません。
もし介護技術を教えるのなら、
その授業は『日本語教育』ではなく『介護』です。
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余談になりますが、いままで学習者から
「介護技術について教えてほしい」と
質問を受けたことがありません。
介護技術っぽいことになりますが、
『認知症の利用者さんが家に帰りたいと
言ったときどうしたらいいですか』
『認知症の利用者さんが不穏になったとき
どうしたらいいですか』
という質問を受けたことがあります。
この質問は「日本語教育」「介護」
どちらの領域でしょうか。
「介護」ですよね。
このような介護の領域の質問を我々日本語教師
が受けたらどうしたらいいのでしょうか。
私は『施設の先輩スタッフに聞いてきてください。
次回の授業で発表してください』
ということにしています。
気を付けなければならないことは、
介護現場は忙しいです。
スタッフ間の人間関係も複雑です!!
ですので、どうやって先輩に質問したらいいか、
質問の表現や作法について教えてから課題を
出すようにしています。
質問の表現や作法を教えることは
日本語教育の領域ですよね。
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『介護の技術指導はしない』という話でしたが、
いままで『介護の日本語』に携わって
10年になりますが、
いまだに介護技術に関する指導をしたことが
ありません。
もし、これから『介護の日本語』に携わろうとしている方で、
介護の技術指導ができるか不安と
考えている方がいましたら大丈夫です。
技術については『介護』の領域の話で、
『日本語教育』の領域ではありませんので、
教えることはないので心配しないでください。
『介護の日本語』は私たち日本語教師が
『日本語教育の専門性』を活かすところです。
もし教えることに迷った際は、
日本語教育の領域か介護の領域か
判断する必要がありますね。
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