介護現場におけるプレゼンティーズムを考える

プレゼンティーズム（Presenteeism）は、従業員が健康問題を抱えながらも出勤する状態を指します。この現象は、特に介護現場において深刻な問題となります。以下では、介護現場におけるプレゼンティーズムの現状、その原因、影響、および対策について、考えてみます。

現状と原因

介護現場は、超高齢社会において不可欠な役割を担っていますが、その労働環境は非常に過酷です。例えば、ある介護施設では、職員が慢性的な腰痛を抱えながらもシフトを休むことができず、毎日出勤を続けています。長時間労働や夜勤、不規則なシフト、重労働による身体的な負担などが重なることで、介護職員は慢性的な疲労や健康問題に直面しています。

さらに、介護職員の不足や高い離職率により、一人ひとりの負担が増加し、病気や怪我を抱えていても休む余裕がないという状況が生まれやすいです。また、ある介護施設では、職員が風邪をひいても休むことができず、症状が悪化してしまいました。

プレゼンティーズムの影響

プレゼンティーズムは、個々の介護職員のみならず、介護サービス全体に悪影響を及ぼします。例えば、健康問題を抱えた職員が体調不良にも関わらず仕事を続けた結果、利用者が転倒事故を起こすリスクが増大します。このような事故は、介護の質の低下を招き、利用者の安全や満足度に直接影響を与えます。

また、職員が十分な休息を取れないことで、慢性的な健康問題が悪化し、長期的な欠勤や離職につながるリスクも高まります。このような状況は、施設の運営にも大きな影響を与えます。

対策

プレゼンティーズムを減少させるためには、以下の対策が有効です。

（１）健康管理の強化
定期的な健康チェックやメンタルヘルスのサポートを提供することで、職員が早期に健康問題を認識し、適切な対応を取れるようにします。例えば、月に一度の健康相談会を実施し、職員が自由に相談できる場を設けるなど。

また、健康に関する教育やトレーニングを通じて、職員自身の健康意識を高めることも重要です。ストレスマネジメントのセミナーを定期的に開催し、職員のメンタルヘルスを支援することも効果的です。

（２）労働環境の改善
シフトの見直しや労働時間の短縮、職場の人員増加などを通じて、職員の負担を軽減する努力が必要です。職員が休暇を取りやすい環境を整えることも重要です。代替要員の確保や休暇取得推進キャンペーンを実施し、職員が安心して休暇を取れるようにすることなども効果があるはずです。

（３）支援体制の整備
職員が健康問題を抱えた際に迅速に相談できる体制を整備することが重要です。職場内外に相談窓口を設置し、問題が深刻化する前に支援を受けられるようにするなど。

また、職員同士のサポート体制を強化し、互いに助け合う文化を育むことも有効です。例えば、職員同士のペア制度を導入し、互いの健康状態をチェックし合う仕組みを取り入れるなど。

まとめ

介護現場におけるプレゼンティーズムは、職員の健康と介護サービスの質の両方に深刻な影響を及ぼします。これを減少させるためには、健康管理の強化、労働環境の改善、支援体制の整備が不可欠です。

これらの対策を通じて、介護職員が健康で安心して働ける環境を整え、質の高い介護サービスを提供することが求められます。具体的な取り組みを実施することで、職員の健康を守りつつ、利用者にも高水準のケアを提供することが可能となります。