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肩関節痛の症状別治療法|経絡治療と弁証別アプローチ
肩関節痛の治療方法
まず、肩関節痛の治療法を紹介します。肩関節痛に対する治療アプローチは、以下の通りです。
1. 肩関節痛の治療方針
局所治療(標治):
肩前面部痛:肩髃(けんぐう)、臂臑(ひじゅ)、肩外側部痛:肩髃、巨骨(きょこつ)、肩髎(けんりょう)、臑会(じゅえ)
肩後面部痛:肩貞(けんてい)、臑兪(じゅゆ)、秉風(えいふう)
肩関節周辺の痛み:魚際(ぎょさい)、太淵(たいえん)、手三里(てさんり)、内庭(ないてい)、条口(じょうこう)
経絡治療(循経治療):
肩外側部痛:液門(えきもん)、中渚(ちゅうしょう)、外関(がいかん)、足臨泣(あしりんきゅう)、陽陵泉(ようりょうせん)
肩後面部痛:後溪(こうけい)、腕骨(わんこつ)、足通谷(あしつうこく)、束骨(そっこつ)
2. 弁証別治療法
肩関節痛には、いくつかの異なる病因と症状が存在します。これに応じて、鍼灸治療を行います。
行痺による肩関節痛:
風邪や寒冷によって痛みが遊走する場合、疏風(そふう)、散寒(さんかん)、去湿(きょしつ)の治療を行います。
代表的なツボ:風門、風池、膈兪、血海、太衝、陽陵泉、大杼(だいじょ)、懸鐘(けんしょう)
痛痺による肩関節痛:
寒邪が原因の固定痛の場合、寒気を取り除くために散寒、疏風を行います。
代表的なツボ:腎兪(じんゆ)、命門、関元、施灸
着痺による肩関節痛:
湿邪の影響で痛みが増す場合、去湿、疏風、散寒を行います。
代表的なツボ:陰陵泉(いんりょうせん)、三焦兪(さんしょうゆ)
熱痺による肩関節痛:
熱を取り除き、炎症を抑えるために清熱、疏風を行います。
代表的なツボ:大椎(だいつい)、曲池(きょくち)、滎穴(えいけつ)
血瘀による肩関節痛:
血液の流れを改善するために活血化瘀を行います。
代表的なツボ:三陰交、膈兪、血海
気血両虚による肩関節痛:
気と血の不足を補うために補益気血を行います。
代表的なツボ:中脘(ちゅうかん)、足三里(あしさんり)、気海(きかい)、三陰交
傷筋による肩関節痛:
筋肉や関節の損傷による痛みを改善するために、経絡の疏通と活血を行います。
代表的なツボ:合谷(ごうこく)、太衝(たいしょう)、血海、三陰交、陽陵泉
次に、なぜこのような治療法を採用するのかについて、理論的な背景を深掘りします。
1. 肩関節痛の原因
肩関節痛は、退行性変化や外傷、炎症などさまざまな要因によって引き起こされます。東洋医学では、これらの痛みを「痺証(ひしょう)」として捉えます。痺証は、経絡や経筋の気血の運行が悪くなることによって生じ、肩関節に痛みが発生します。
2. 弁証別治療の必要性
肩関節痛にはさまざまな病因と症状があるため、弁証別に治療を行うことが重要です。例えば、風邪や寒邪が原因で痛みが増す場合、疏風や散寒が必要です。一方で、湿邪や熱邪が関与している場合は、それぞれの邪気を取り除く治療が求められます。
行痺(風邪の遊走性痛み)には、風を追い出し、痛みを散らすことが必要です。
痛痺(寒邪による凝滞性痛み)には、寒を散らし、温める治療が有効です。
熱痺(熱邪による炎症性痛み)には、熱を冷まし、炎症を抑える治療が効果的です。
3. 経絡治療の役割
経絡治療は、肩関節痛を治療するために不可欠です。経絡を通じて、気血の流れを調整し、痛みを軽減します。特定のツボ(経穴)を使うことで、痛みを緩和し、関節の機能回復を促進します。
4. 血瘀と気血両虚の治療
外傷や長期間の疲労が原因で血液が滞ること(血瘀)や、過度の疲れで気血が不足すること(気血両虚)があります。これらの状態に対しては、活血化瘀や気血の補充を行うことが、治療の鍵となります。
これらの事を表にして治療院に置いておくといいですね。
肩の疾患はとても多いので役立つと思います😊