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短編小説

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#未来

【短編】荷物も、未来も、過去も、捨てられたらいいのに。

済みませんね、今日はメニューが一種類だけなんですよ。 どのような事情があったのかは知らないが、この汚い中華料理屋は今日、観測史上最大の客入りだ。 厨房では時折大きな炎が上がり僅か三名のアルバイトがひっきりなしに料理を供給し続けている。 テーブル、カウンタ、そして立ち食い。本来であれば15人程度のキャパシティしかない店内は300パーセント以上余計に充填された人間の呼気で酸素濃度が著しく低い。 特別美味くも不味くも無いはずのこの店がこんなことになってしまっている事に対する