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難病になって4年半を振り返って。強皮症になって大変だったこと、学んだこと。
こんにちは。
栃木に住む27歳会社員のつだ かいです。サウナとラーメンが好きです。
突然ですが、私には持病があります。
全身性強皮症(ぜんしんせいきょうひしょう)という病気です。
おそらくほとんどの方が初めて聞いた病名ではないかと思います。
今回は、強皮症と診断されてから4年半が立ち、自分を振り返る意味でnoteを書いてみました。
テーマは強皮症になって大変だったこと、学んだことです。
このnoteを通じて、多くの人に強皮症の存在を知ってもらい、強皮症に理解ある社会に少しでも近づくことを願っています。
なお、重めのタイトルになってしまってますが、強皮症という病気があるんだ〜とか、病気になるとこんな気持ちになるんだ、くらいのライトな気持ちで読んでいただきたいです!
また、ラストには最近始まった挑戦について書いてますので、よかったら最後まで読んで頂けると幸いです。
そもそも全身性強皮症とは?
まず全身性強皮症とはどんな病気なのか。
強皮症は、皮膚や、肺・消化管・食道・心臓など全身の様々な内臓が徐々に硬くなる変化(線維化)や、手足の先の血行が悪くなる変化(末梢循環障害)を特徴とする病気です。病気の原因は不明ですが、免疫の異常が関わっているとされています。
強皮症は膠原病(こうげんびょう)の一種です。膠原病は、身体を守るはずの免疫が異常をおこし自分の身体を攻撃してしまう病気です。
なかでも強皮症は免疫の異常により、
皮膚や内臓が硬化するという症状がおこります。
皮膚や内臓なので全身に影響が及びます。
そのため患者さんによって多様な症状がおこり、
その重さも人によって様々です。
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実際に私に起こっている症状は主に6つです。
前提として、薬で症状を抑えているため現在は日常生活を自力で過ごせています。
レイノー現状
冷えると手指の先が紫色になってしまいます。冬はカイロを常に2個持っています。皮膚のつっぱり
皮膚が硬くなり、グーを握れない、上のものが取りにくい、ボタンが止めにくい、などの不便があります。呼吸機能の低下
肺の硬化で呼吸機能が低下し、以前より息があがりやすくなってなるな、と感じます。全身のむくみ
むくみが出やすく、特に足がむくみやすいです。定期的なストレッチやマッサージ、サウナが欠かせません。逆流性食道炎
食道の硬化で、食べ物が飲み込みにくい、ゲップが出やすいです。喘息気味
冬の寒い時期になると咳が止まらなくなってしまい、薬で抑える必要があります。
以上の症状があり、一定のストレスはあるものの、薬で症状を抑えているため日常生活を自力で送れています。
これは強皮症患者の中ではまだマシで、
同じ強皮症の方でもっとお辛い方々がたくさんいると聞いています。
私は当初から強皮症に理解のある医師に当たった為、早期に治療が開始出来ました。
本当に幸運でした。
強皮症という病気は、現在も原因や治療法が解明されておらず、厚生労働省から難病指定されています。
難病指定されている強皮症のサイト
そんな強皮症という病気になった私の4年半の大変だったこと、学んだことを振り返っていきます。
大変だったこと
自分が病気だと受け入れること
数々の幸運に恵まれ、
現在は病気であることを個性と捉え、
受け入れる事が出来ています。
しかし、診断されてからしばらくは受け入れることが出来ませんでした。
お金や症状、薬の副作用など
大変な事は多々ありましたが、
受け入れる事が一番大変だったのではないでしょうか。
「このまま何もしなければ、3年後に10メートルも歩くのが辛くなりますよ。」
これは大学病院で検査入院を勧められ、
仕事を理由に断ろうとした際に医師から怒られた時の言葉です。
元々ストレスで10円ハゲが出来てしまい、すぐ治るだろうと軽い気持ちで皮膚科のクリニックに行きました。そこでついでに血液検査をしたことがきっかけです。
(クリニックの先生が大変勉強熱心な方で強皮症に理解があり、大学病院にかかることが出来ました。)
そういった経緯に加えて、
当時仕事で責任あるポジションを任され、
かつ23歳という年齢、
さらに当時は症状も軽かったこともあり、
風邪にかかったな〜くらいのテンションでした。
しかし医師からは語気を強めて
「若い人は進行が早いケースがあります。このまま何もしなければ、3年後に10メートル歩くのが辛くなりますよ。そうなったら仕事を続けるのも難しくなってしまいますよ。」
と言われてしまいました。
その日の病院の帰りは頭の中が絶望で溢れていたことを覚えています。
「仕事で出世する。結婚をして家族が出来る。それも出来なくなるのか?」
「なんなら、歩く事や呼吸すること、それすらも難しくなるのか?」
将来への期待や、当たり前がなくなるかと思うと怖くて堪りませんでした。
泣きそうになるのを堪えながら、なんとか母に報告したのを昨日のことのように覚えています。
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その後、少しずつ現実を受け入れ、強皮症は自分の一部であると思えるようになりました。(受け入れるのに診断から半年はかかったと思います)
怒ってくれた医師をはじめとする医療関係者の皆さん、家族、当時の会社の社長や上司、友人が心から寄り添ってくれたお陰です。
そして、病気であることを少しずつ受け入れようになる過程で一つのことを学びました。
次は病気になった事で学んだ事を書いてみます。
学んだこと
人には人の修羅場がある。
だから助け合う。
私は小さい時から人に嫌われる事を極端に恐れる性格でした。
なので周囲に嫌われないように、迷惑をかけないように生きてきました。
病気になってもそれは大きく変わらず、
マイナスな気持ちに蓋をして、元気に振る舞おうとしていました。
病気なった、なんて言われたら迷惑をかけて嫌われてしまう!と思っていました。
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しかし、
検査で突きつけられる病状、
自治体への煩雑な申請、
日に日に増える出費と親への借金、
膨大な薬の量。
気がつくと、元気に振る舞うには限界が来ていました。
そんな時、当時勤めていた会社の社長から思いがけない言葉をかけられます。
「お金大丈夫なの?俺個人からなら貸そうか?返すのはいつでもいいから!」
これは2020年の3月に社長からかけられた言葉です。
1ヶ月分で約80,000円分の薬を処方され、
その事を社長に何気なく愚痴った時に言われました。
(高額医療補償制度の申請中で、出費がとんでもない事になってました。)
当時の会社は多額の投資を行った直後、
コロナが流行しそれなりに大きなダメージを受けていました。
まだコロナ流行直後で国からの補償も少なく、アルバイトを含め100名近い従業員の生活を守るために、社長は資金調達に奔走し、個人名義でも多額の負債を抱えていたと何となく聞いていました。
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言われた時は冗談かと思い、丁重にお断りしました。
しかし、
今の社長の状況で、冗談でも言えるの凄くないか?
と、ふと冷静になり、
その言葉の重さと有り難さがじわじわと心に沁みてきました。
社長の方がもっと孤独で、
重い責任を背負ってるのに助けようとしてくれていました。
今でも度々思い出すとても印象に残った出来事です。
そこから何となく肩の力が抜け、何気なく病気について周囲に話すようになりました。
(借金目的ではないです。笑)
そうすると意外な事が起き始めました。
それは、実はみんな何かしらの苦労を抱えているということです。
過去に病気で引き篭もった事がある人、
近しい人が難病で仕事をしながら看病していた人。
他にも、
職場で理不尽な環境にいること。
人間関係で辛い思いをしてきた事、などなど。普段は元気に見える人も、とてつもない苦労を話してくれる事が増えました。
それぞれの人生の修羅場で大変な思いをしてるけど、自分の経験を話して励まそうとしてくれていたんだと思います。
そう思ったとき、相手と強い信頼関係が生まれた気がして、私も相手の力になりたい!
自然とそう思えるようになりました。
そこから、
皆んなそれぞれ修羅場がある。
だから出来る範囲でいいから周囲の助けになろう。
という気持ちが強くなり、それに比例して深い関係性が持てる友人が増えた気がします。
これは病気になったからこそ、身をもって学べたことだと思っています。
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最後に
次は同じく強皮症で苦しむ患者さんのために。
ここまで長くなってしまいましたが、最後です。
私は病気になってから多くの人の支えがあって今があります。
強皮症の患者さんの中には病状が悪化して仕事を辞めざるを得ない方々がいます。
それでも私はやりがいのある仕事が出来ているのは奇跡で、何か恩返しが出来る事はないかなと思っていました。
そんな中、少しは恩返しになるかもしれない機会を頂きました。
一般社団法人 日本強皮症患者の会〜絆〜の設立
これは私が通っている東京大学病院の患者さんが中心となり発足した強皮症の患者会です。
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強皮症はまだまだ知名度が低く、肩身の狭い思いをされている患者さんが多くいるのが現状です。
そこで情報発信や講演会、患者さんのためのコミュニティ運営などを通じて強皮症患者さんの治療生活が少しでも改善出来たらと思っています。
強皮症に対して有効な治験薬(ルミセフ®︎)の保険承認にむけた署名活動
患者会の活動第一弾は署名活動です。
これは、治療薬のほとんどない強皮症において治験で有意な結果が出ているルミセフ®︎の保険承認を早期に求めるものです。
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既に日本だけではなく、アメリカやカナダなど海外でも乾癬という病気に対して使用されている安全性の高い薬です。
保険承認がされないために、わざわざ遠方から来ている患者さんもいらっしゃいます。
私自身も使用し、肌の硬さが改善したので早期に承認してされて欲しいと切に願っています。
もしご協力頂けるかたはオンライン署名へのご協力をよろしくお願いいたします。
ここまで長文になってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました!
大学を卒業した時は、まさか自分が難病になるとは思っていませんでした。
そして、一般社団法人を立ち上げ、署名活動の当事者になる事はもっと想像していませんでした。
まだまだ未熟者ですが、
自分の出来る範囲から、誰かの役に立てるよう精一杯生きていきたいと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
一般社団法人 日本強皮症患者の会〜絆〜
会長 津田魁