【身体に備えられた反射機能】
人間の身体には、より効率的な動作をする為に様々な仕掛けが潜んでいます。
その1つが「反射」という機能です。
動きを巧みに操ったり、より力強いダイナミックなものにするにはこの反射という機能は欠かせません。
反射とは、ある刺激に対してその刺激に比例した強さで、「脳を経由せず決まったパターンの反応」が生じる現象になります。
具体的なメカニズムとしては「皮膚や筋肉の感覚受容器で生じたインパルスが、感覚神経によって脊髄に伝えられて、中枢神経内のある部分で、意思とは無関係に切り替えられて運動神経に伝達され、効果器で筋肉が活動をする」現象です。
その反射の経路を「反射弓」と言って、切替の場所のことを「反射中枢」と言います。
特にスポーツやトレーニング面に焦点を当てると「伸張反射と頸反射」というものがあります。
〜伸張反射のメカニズム〜
伸張反射は、脊髄内に反射中枢を持つ「脊髄反射」の1つになります。
骨格筋が勢いよく伸張されると、それが刺激となってその筋肉が収縮するというものになります。
反射のスタートは筋肉内にある「筋紡錘」というもので、これが勢いよく伸びるとインパルスが発生をして、感覚神経を介して脊髄の運動神経に伝達されて筋収縮を起こします。
一般の人にも知られているものとして、膝蓋腱反射があります。
筋肉をリラックスさせたい時は、この反射が起こらないようにして静かに伸ばしていきます。これが「静的ストレッチ」というものです。逆に伸張反射を起こしやすくする為に、反射弓の反応を良くするものが「動的ストレッチ」と言われています。
縄跳びの様な跳躍は、腓腹筋が緊張しながら引き延ばされて伸張反射が起きています。
〜緊張性頸反射〜
頸反射は別名「緊張性頸反射」と呼ばれていて、頭を前後左右に傾けることによって「四肢の筋肉の緊張具合」が変化する反射を言います。
立っている時の「姿勢制御機能」にも大きく関わっているので、「姿勢反射」とも呼ばれています。
頭の位置の変化によって、頸筋の筋紡錘が刺激されて、その興奮が反射弓を介して四肢の筋肉へと伝えられます。
運動で使われている場面では、走り高跳びなどの空中パフォーマンス代表的な例です。体幹を背屈させると「四肢は海老反りの方向」に反応しやすく、腹屈させると「四肢は丸々方向」に反応しやすくなります。
基本的には体操競技や飛び込み競技は、この頸反射が大きな役割を担っています。