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海がぜんぶ持っていってくれた

いつも海に助けてもらっている。
たとえば、海辺をただ散歩しただけで、心がクリアになったりする。
やなこと、かなしいこと、くやしいこと、モヤっとすること。
そういうのぜんぶ、海のそばにいるだけで、波と風が持ってってくれる。
「ような気がする」じゃなくて、持ってってくれる。はっきりとわかる。わかるくらい、自分の中がクリアになる。自分の「心の眼」みたいなのが、くもり無く、すっきりクリアになる感じ。

わたしのアトリエは海の目の前にあって、窓からはいつも、サーフィンを楽しむ浅黒にいちゃんねぇちゃん達が見える。彼らは雨の日も、冬の日も、サーフィンしてる。
わたしはサーフィンはしないけど、雨の日も冬の日もサーフィンしたい気持ちは、わかる気がする。
「サーフィン」という遊びを楽しんでいるのはもちろんだけど、無意識に、心を洗ってるんじゃないかしら。心というか、魂。
海に浸かるたび、魂が洗われている。
わたしが今年の夏に頭まで海に浸かったのは一回きりだったけど、それでも、たしかに魂の深い部分が洗われたような気がしたのでした。

第2チャクラについて書いた自著「自分を愛する本」でも書いたけれど、海は母だなぁ、って、つくづく思います。
泣きつくと、必ず抱きしめてくれる。ぜんぶ、受け止めて、流してくれる。
「あんたは悪くない」と、慰めてくれるし、「しょうがなかった」と、励ましてくれるし、「頑張ったよね」と、寄り添ってくれる。
でも、優しいだけじゃない。厳しさもある。強くて厳しい。怒ると怖い。
母だ。
海は、広くて強大な愛を持つ、母だ。

もしも、あの広大で強力な海のエネルギーを、体の深部に届けられたら。
想像するだけで、すごいことです。

その「すごいこと」を、こないだの秋分の期間に、3日間連続でやっちゃったのです。
それは、海水温熱セラピー、というものでした。

いやぁ〜。みれいさんと福太郎さんから、「すごい、すごい」とは聞いていたけど…… あんなにすごいとは!

純粋な海水のみで蒸したアッツアツのタオル(いや、これがまた激アツで!!!)を、体の臓器や部位、チャクラに乗せて、体の深部に海水による熱を入れ込んでいく、という、これまで聞いたことも受けたこともない、不思議なセラピー(わたし個人の見解による説明です)。

そのタオルの熱さが想像の斜め上をいっていたことや、「アツいっ! アツいっ!!!!」って叫んでもなかなかタオルをどけてくれない朗らかに見えてドSっぷりがすごいセラピストのまみこさんのことや、まぁ書き出したらいろいろとあるのだけど……!
あまりの熱さに意識が朦朧としつつもひとつだけ覚えていることがあって、それを書いておきたいと思う。

あれはたしか、胸の真ん中の肺のあたり、チャクラで言うと4番、ハートチャクラ付近に温熱タオルを当ててくれているときだった。
タオルで熱されて胸の奥のほうの温度が高くなるにつれ、子どもの頃のいや〜な出来ごとの記憶が浮かんできて。忘れようとしていたこと。記憶から消し去ろうと、なかったことにしていたこと。
そうか。あの時からだったんだ。
わたしは、「あのいやな出来ごと」で心が冷たくなってしまったんだ。

「kaiさん、肺がちゃんと赤くなりましたよ〜」

タオルを当てたところの皮膚が真っ赤になると、その部位が深部までしっかり温まった、ということらしい。
約40年ものあいだ凍らせてしまっていた部分の氷が解けて、やっと動き出すんだ。

海が、「あんたは悪くない」「しょうがなかった」「頑張ったよね」って、慰めて、励まして、寄り添って、抱きしめてくれたようだった。

そう思うと、なんかもう、いろんな感情が混ぜこぜになって、笑えて泣けてきた。笑い泣きの半分以上は、尋常じゃない熱さによるものなのだけど。


海、すごすぎ。


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