二度と戻ることはない
私たちは結婚することにした。
結婚することにした時は、幸せだったのだ。
私は出会った時から、彼のような人と結婚できたら幸せだろうなと思っていた。
あまり結婚願望が強くなかった私がはじめて結婚したいと思ったのが彼だった。
この時点で本当に見る目がなかった。
前の記事に書いたように、女性なら誰しもが一生忘れることのない人生で最高の日のことを忘れる日がくるなんてこの時は思いもしなかったのだ。
DVやモラハラを受けている女性は必ずこう言う。
彼は優しかった。
彼は今は少しおかしくなっているだけ。
何か悪いことがあっただけ。
彼はすぐに元の優しかった彼に戻る。
私もそう信じていた。
だって、彼は誰よりも私を大切にし、私の願いは全て叶えてくれようとし、私の両親を大事にし、私には惜しみなくお金を使った。
いつも私を見る時は笑っていた。
私を楽しませようと必死だった。
本当に純粋に彼もそうした日があったのかもしれない。
なかったのかもしれない。
もしあったのだとしても、なかったのだとしても、DVやモラハラを受けた時点で彼が昔どう思って私に良くしてきたのかなどは、もうどうでもいいことなのだ。
そんな最高だった日々など、DVやモラハラを受けた時点で綺麗さっぱり忘れ去らなければいけない。
考えても無駄なのだ、だって絶対にもう二度と優しかった頃の彼には戻ることはない。
一生ない。
死ぬまで変わらない。
もう彼がそうなると、もう私たちにできることは何もない。
彼のために何かしてあげたいと思うなら、ただ一つできることは彼から離れることだ。
それでも彼らは追ってくるし、きっと一生追いかけ続ける。
私たちDV被害者にできることは、できる限り彼らから逃げ続け、二度と連絡を取らない、二度と合わないことだ。
それしか方法はない。
彼らは生きている限り、ずっと一人の女性に執着し続ける。
楽しかった日々、最高に幸せだった日、最高に優しくて素敵だった彼。
だから結婚したのだ。
他の女性と同じように、本当に大好きで一生一緒にいたら楽しくて、家族が増えて、おばあちゃんになってもずっと幸せに暮らし、一緒に歳を重ねる。
彼とならそんな未来が叶えられるだろうと思って、結婚したのだ。
他の女性と同じように。
そして私たちはハネムーンを兼ねてそれぞれの実家に結婚することを報告する旅に出るのだった。
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