熱気球の思い出。【400字掌編】
日本広しと言えど、気球を飛ばす事ができる「フライトエリア」は実は少ない。航空局に連絡をして、フライトする近くの空港に飛行通報書を届け出て、田んぼ一枚分の障害物の無い場所が必要になる。
佐賀県に生まれた僕は幸運だった。
気球のイベントがたくさんあるのだ。
国際競技でもあるインターナショナルバルーンフェスタでは乗ることはできないが、別のイベントで一度乗せて貰った事がある。
その時に一番記憶に残っているのは、風景ではなかった。
気球が飛ぶ際に広がった風船のような球皮の部分。その内側に目を奪われた。段々膨らむその内側には、色鮮やかなドームの部屋があった。
「凄いだろ。でも空からの景色は、もっと凄いぞ」
パイロットのお兄さんは僕にそう言った。その格好いい横顔が何よりも目に焼き付いた。
その時の上空からの景色は、僕が無事この試験に通った時に萌芽の思い出として続きを綴る事にする。
今はまだ、「いつか」に向かう旅の途中だ。
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