🎩BLワールド備忘録🕷️『バグ』🐜夜光花🐝

夜光花著
イラスト:湖水きよ
キャラ文庫 徳間書店

おびただしい血の跡だけを残した遺体無き連続殺人事件＿＿その犯人は、人を食らう『蟲』だった⁉️
謎の事件を追う警視庁捜査一課の刑事、飛留間七生ひるまななみが出逢ったのは、特別捜査官の水雲もずく。
エリート然とした態度とは裏腹に、なんと水雲は日本刀を操り蟲を退治する使命を帯びた異能力者だった‼️
更に七生の隠された能力をも見抜いた水雲は、驚く七生に「俺と共に闘ってくれ」と迫ってきて…⁉️

第１巻背表紙から引用

野獣、鬼と来て今度は蟲➰➰💦
夜光花氏に人ならざるものを書かせたら、なぜか人より愛おしく感じてしまうのはなぜだろう？

そしてその根底には異物を排除しようとする人間のエゴや保身を鋭く抉り出そうとする姿勢が見える。

今回はふたり共が『人とは違う』能力をもっているがために、社会の中での生きづらさを抱えている。それでもその能力が誰かのためになるならと果敢に立ち向かう姿が痛々しくもカッコいいのだ❗️

コンプレックス

七生は幼い頃から異常な虫嫌いで、感覚が研ぎ澄まされすぎて気配で虫の存在を見破ることができる。カサリと物音がする前には鳥肌が立ち、吐き気をもよおすほどだ。
刑事である立場上、上司の野村以外には明かしていない。なのに初めて会った水雲にはあっさりと見破られてしまう。
水雲は七生の能力が蟲退治に生かせると言うが、苦手な蟲に関わりたくない七生は激しく拒否するのだが…。

一方、モズこと新枦水雲しんばしもずくは人の記憶を操作する事ができる異能力者。物心ついた頃から回りの者の心が見えてくるために自らの心を開けることができないでいた。だが、捜査の中で出逢った七生にはどういう訳かその能力が使えない⁉️
唯一無二の存在に、興味津々の水雲はあからさまに七生を口説き続ける🎵

共に異端者としてのコンプレックスをもったもの同士。

反発しながらも、いつしか無くてはならない存在に…💕

記憶の奥の謎

七生は幼少期の記憶が曖昧なことが、自分の虫嫌いの原因に関わっているのではないかと、田舎に暮らす祖母に会いにゆき思いがけない生い立ちを聞いて驚く‼️

そこにはおぞましい過去が…‼️
そしてそれこそが、『蟲』を操る存在を暗示するものだったのだ。

更には、水雲の新枦一家にも深い因縁が…。

夜叉

陰と陽、黒と白。互いに相反する存在でありながら、どちらかが欠けると成り立たない関係。

むかし、双子は忌み嫌われた存在で、先に産まれ出た者は夜叉になり、もう片方の陰となるといわれていた。

これは、吉田秋生氏のコミック『YASHA』に出てくる一説である。

『バグ』を作品を読みながら、何度もこの一説が脳裏にうかび、恐ろしくも哀しいバグ・・の生い立ちに心をかきみだされた➰💦

育った環境がいかに、人の情緒を司りその生きざまを左右するかを、思い知らされる。

登場人物それぞれが、その生い立ちを背負っている。

ふと、自分の子育ては間違っていなかっただろうかと不安になってしまった…💦

みどころ

七生は堪えきれない吐き気と闘いながら、台の上の赤子に近づいた。喩えようもなく気持ち悪いが、七生は懸命に感情を殺し、震える手を伸ばした。
赤子の腹に触れる。その刹那、びりりと電流のようなものを感じた。薄い皮膚の下で、気持ち悪い存在が這い回っている。悲鳴をあげて逃げ出したい。それでも、七生は何とか足を踏ん張り、千々に乱れる意識を集中させた。
（そこから出ろ、出ろ、出ろ……）
  蟲に語りかけるように懸命に念じる。最初はなかなか集中できず、伝わっている感覚はなかったが、何度も念じると何かの線が繋がった感覚があった。ガタガタと震えながら赤子の腹に手を当てて、ただ『出ろ』とだけ命令する。嫌悪感と恐怖は、限界だった。
七生はせり上がった吐き気にくちを押さえた。その瞬間、赤子の口から蛇のような長い物体が飛び出してきた！

1巻P191

七生が無自覚にも、自分の能力に気づいてしまう場面。
これがキッカケで七生は、本気で『蟲』と対峙する決意をする。
目を背けてきたことに、立ち向かうその様は決して優等生ではない。
「怖い、嫌だ、止めたい」と叫びながらの七生に思わず、がんばれーと応援してしまう✨
そして、それをしっかりと支える水雲が頼もしい❤️

夜中に本を読んでいると、かさかさと空耳が……‼️
殺虫剤をお手元に💕