BL ワールド備忘録「好きで好きで」「恋みたいな愛みたいな」
安西リカ著
木下けいこイラスト
新書館ディアプラス
ただひとりの人をひたすら愛して行くことに喜びを感じる
こんな神がかりの奇跡が本当にあるのだろうか。
高校、大学を経て社会人になっても好きという気持ちは萎える事はない穂木。
穂木に万が一のことがあったら自分の人生は終わると自覚している志方。
互いのために自分の存在が足かせになっていないかと気づかい合うふたり。
彼らの年月が流れていくなかで、紆余曲折を降り越える度にその優しくて大きな愛はむしろ、強くしなやかに成長して行く。
互いを我が身の一部のように。それでいて束縛することなく、当たり前のようにそこに存在する。
有るがままに、息をするように当然の如く。
そんな羨ましいふたりの日常の小さな事件を、つづった物語。
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BL作品に惹かれるのには、彼らの恋愛には打算が許されないという縛りがあるからかもしれない。
男女の恋愛と違い、たくさんのハードルを越えなくては手に入らない物。
だからこそ相手の事を思い、気づかい、時には自己完結して空回りする。
めったに手に入らないからこそ、一途に相手を思い続ける。
そして彼らは言う。「きみと出会えて、本当によかった」
唯一無二の大切な人に実際に巡り会えている人はどれだけいるのだろう。
今となっては、実現も難しい自分には物語の中に夢を追いかけるのが楽しみのひとつである。