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北欧ひとり旅①:ToDoリストを捨てて、気づいた大切なこと

「なんか、フィンランドに行きたい…」。

 そんなことを突然思ったのは、ちょうど2か月とちょっと前、映画『かもめ食堂』を観たときだった。

 北欧フィンランドの静かな雰囲気、のんびりとした空気感。何か私の心に響くものがあって、「いつか行ってみたいなぁ」と思っていた。

その「いつか」が急に「今だ!」

となって、気づけばフィンランド行きのチケットを手配していた。

 フィンランドと言えば、マリメッコやアラビアといった、日本でも人気の北欧ブランドがすぐに思い浮かぶ。あの美しいデザインや、シンプルでいてどこか心を和ませる雑貨たち。さらに、「丁寧な暮らし」なんて言葉がぴったりな国でもある。

一度は憧れるやつ。

糠漬け止まり。

 自然と共にゆったりと時間が流れるその雰囲気を、日本の女性たちはこぞって愛している。私もその一人だった。「なんか、北欧の空気に触れたい」という漠然とした理由で、今私はフィンランドの地に立っている。


完璧な準備で挑んだ、はずだった

 旅行前の私は、なんでも準備が命だと思っていた。特に初めての国、しかもフィンランド語なんてまったく分からない場所に行くならなおさらだ。

 地球の歩き方を何度も読み込み、YouTubeで「フィンランド観光」「ヘルシンキカフェ」「北欧の必見スポット」なんかを検索しまくった。

ディフェンス硬めがち。

 ガイドブックとYouTubeを組み合わせれば、もう怖いものなし。やりたいことリストまで作って、まるで計画通りに進めば完璧な旅が待っているかのような準備ぶりだった。

 ヘルシンキに着くと、私の完璧な旅のスタートだ!と思って、限られた時間で予定をこなしていった。

まずはカフェ巡り。映画に出てきたあのカフェ、次は有名な観光名所、そしてあの図書館も、、、ヘルシンキ大聖堂も見逃せないし、、、

 予習通りに歩き回る。

でも、なんだろう、心が全然動かない。「次はあそこ、OK。はい次はここ」って感じで、まるで観光タスクをただこなしているみたいな感覚になってきた。

 せっかくのフィンランドなのに、感動が薄れている。

何のために来たんだろう、、、?

 予定をきっちり守ってるはずなのに、楽しさよりもどこか焦燥感が先に立つ。「ここに来るのが夢だったんじゃないの?」と自分に問いかけてみても、なんだか答えが見つからない。

リストを捨てたら、旅が変わった

 そんなことを考えながら、突然思った。

一旦、自分の思うままに動いてみたい。

感性の芽生え。

 スマホのメモにぎっしり書かれた「やりたいことリスト」を無視して、ただ歩いてみることにした。

行く先も決めず、ただ足の向くままに街を歩いてみた。フィンランドの美しい街並み、ゆったりと流れる時間、そして澄んだ空気。予定に縛られていたときには見えなかった景色が、目の前に広がっていることに気づいた。

 不思議なことに、リストを捨てた途端、現地の人との出会いが増えていった。

「次に行くならここがいいよ」「このカフェは地元の人しか知らないんだ」

 偶然出会ったフィンランドの人たちが教えてくれる。観光名所なんかよりも、彼らが勧めてくれる場所がどれも魅力的に感じられた。

 そうやってたどり着いたヘルシンキ市立美術館。そこで出会った期間限定の展示に、私は時間を忘れて夢中になった。これが、フィンランドに来て初めて「本当に心に響いた瞬間」だった。

体験型アート。

 あれだけ準備をして、観光スポットを巡っても感じられなかった何かが、ふとした瞬間に目の前に現れたのだ。

ガイドブックには載っていない、現地の人の勧めでしか出会えない場所。それが、旅の醍醐味なんだと、改めて実感した。

「自由さが、旅を豊かにする」

一人旅って、意外と自由すぎて不安になることも多い。 

特に女性が一人で旅をするとなると、治安がどうだとか、言葉が通じないとか、不安はつきない。

いくら北欧とはいえ。

しかし、その不安を消すために準備万端で挑んだはずの旅が、逆に私の感動を奪っていたことに気づいた。何でもうまくいくように、スムーズに過ごせるようにと準備をしてきたけれど、その完璧さが旅の驚きや新しい発見を隠してしまっていたのだ。

そんな中、地元の人が通うサウナで体験したあの心地よさ。

刺青ガンガンのメンズたちが、こぞってマリメッコのカラフルでポップなバスタオルを腰に巻いてて、なんとも言えないほのぼのさを感じる。

マリメッコの良さをここで痛感。

日本とは違って、外気欲は男女一緒にバスタオル一枚でお酒を楽しむ。そして、フィンランド語の心地よい響き、これもまた、予習していないからこそ味わえたものかもしれない。

体の芯から整った感覚、だけではない多幸感。

ああ、これがフィンランドの豊かさなのかもなぁ。

旅の楽しさって、実は「不自由さ」にあるんだと、このフィンランドのひとり旅初日で気づかされた。情報があふれる今、何でも知ってから行動することができる時代だけれど、あえてその不自由さを楽しむことが、旅を本当の意味で豊かにするんじゃないかと思う。

 英語もフィンランド語もほとんど分からない私が、現地で出会った人たちとコミュニケーションを取るのは、もちろんスムーズじゃなかった。それでも、現地の人たちは不思議と暖かく、笑顔とジェスチャーでどうにか会話が成立する。

そんな経験ができるのも、一人旅ならではなのかもしれない。

自分自身を見つめ直す時間

 振り返ってみると、結局旅に出たくなる理由って、日常のどこかに行き詰まりを感じているからなのかもしれない。私も、日々の忙しさや、何か変えたいけどどうしたらいいかわからないもどかしさを抱えて、フィンランドに飛び出したんだと思う。そしてその中で、リストに縛られない自由さや、知らない土地での不自由さが、自分を見つめ直す時間を与えてくれた。

一人で旅をすることで、自分の弱さや不安も見えてくるけれど、それと同時に、自分が本当に求めているものが何なのか、ゆっくりと見えてくる気がする。

そんなことを、サウナで湯立ちながら考えていたのでした。

推しサウナ。

では、また!

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kaho|理学療法士・パラレルワーカー
最後まで読んでくださりありがとうございます^^! こんな感じでダイエット・美容からキャリアの話まで、ちょっとためになるようなお話をお伝えしていますので、また読みに来てくださいね❣️

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