ライブラリーのある旅館で叶う、贅沢な旅時間【旅と読書】
旅に出かけるとき、最近の私が意識して選ぶのは「ライブラリーのある旅館」だ。
旅の醍醐味は観光やグルメだけではない。
少し日常から離れて、心をゆるめる時間を過ごすのが大人になってきた私にとっての、旅の本当の目的になりつつある。
そんな最高な時間をくれた、今回の旅館「AWA西伊豆」さんが引き合わせてくれた、素敵な一冊との出会いをまとめておく。
最近のモヤモヤに刺さる一冊との出会い
最近、私の頭には「今後の生き方」「キャリア」についてのモヤモヤがずっと残っていた。
明確な悩みがあるわけではないが、日々の忙しさや周囲の状況に流されている自分がいる気がして、ふと「これでいいのだろうか」と立ち止まる瞬間が増えていた。
そんなとき、何かしらの「答え」を求めて宿泊した旅館にあるライブラリー。
おしゃれ空間にワイン片手にぶらぶら。(チェックインと同時にバーが利用できる。最高)
ふと目に入ったのが、樹木希林さんの『120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』という本だった。
旅先で“今の自分”に出会える本の魔法
「本」との出会いは、不思議なもので。
旅先で手に取った本が、まるでその時の自分に語りかけてくれるかのように感じることがある。
今回もその一冊だった。
ページを開くと、右側に希林さんの言葉が短く記され、左側にはその背景や解説が並んでいる。そして、ときおり挟まれた彼女の写真が、穏やかにこちらを見つめている。
——希林さんのこの言葉が目に入った瞬間、静かな旅館の一角でその意味をかみしめていた。
楽しむことと、面白がること。この二つの間には、実は大きな違いがあるのかもしれない。
どんな困難や悲しみも、受け止めた上で「面白がってみる」という視点を持つことで、少しだけその先が軽やかになる。そんな彼女のメッセージが、今の自分に何かを伝えているようだった。
樹木希林さんの“面白がる”生き方から学ぶ、私らしさのヒント
樹木希林さんは、長年患っていたガンの闘病生活もまさに「面白がる」様子が描かれている。自分の一生を貫いた人だ。
病と闘う辛さを抱えながらも、それを自分の一部として受け入れ、悲観するのではなく、面白ろおかしく自分らしい視点を持ち続けて生きた。
その姿勢に触れることで、私の中にあったモヤモヤが少しずつ晴れていくのを感じた。
人生の中には困難や悩みがどうしても付きまとうものだけれど、それをただ嘆くのではなく「面白がってみよう」という視点を持つことで、気持ちが少し前向きになれるのかもしれない。
旅先で出会う本は、具体的な「答え」を教えてくれるわけではない。
しかし、その時の自分の心に寄り添ってくれるようなメッセージが含まれている。
そして、こうした本との出会いを通じて、日々の生き方や考え方を少しだけ見つめ直す機会が生まれることがある。
樹木希林さんの言葉は、まさに私にとってその一つだった。
迷い続けるモヤモヤは、たぶんこの先も完全には消えないだろう。
それでも、「面白がる」という視点を手に入れたことで、そのモヤモヤにも少し違う向き合い方ができそうだ。
樹木希林さんが遺してくれた言葉の数々に触れることで、私もまた、自分らしい生き方を見つけていけたらと思う。
そんなおすすめの一冊。帰宅してAmazonでポチったのである。