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詩だと言い張る。
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坂道の街

冷えた林檎みたいな赤色を纏っていた。
突き刺すように背伸びして、君の全身は呼吸する。
坂道ばかりの街の空を、その小さな体で見上げて居たいと君は言う。
喉から朝日が昇るような、透き通った悲しみがこの街を照らす星々の正体と仮定したなら、
夜の瞬きの、その隙間からこぼれる歌は、子どもたちの安心の証。
誰が死んでもこの街から安心の歌が途絶えることはなく、みんなは天国を信じていた。
さあ、僕らも、夜空を這う

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詩がみっつ

詩がみっつ

*

ひと

悲しいだけで生きていけたらな。
きちんと順番に壊れていって、適切な悲しみを教えてくれる先生がいればな。
僕たちは植物や動物と違って特別に死を知っていて恐れていて神様を信じている。明日がくる前提だから自然と噛み合わない。
鳴き声を忘れた生き物を、神様は生き物と思っちゃいないよ。
死んでほしくないな。君が死んだあともそんな事言っていられるんだろうか僕は。

*

部屋

我が家。子供部屋

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