そういえば鳥山明は天才なんだった 劇場版SAND LAND【映画感想文】
あらすじ
感想
原作読んでるしな~~~って人。今すぐ観に行った方が良い。
原作読んでない人も観に行ったほうが良い。
いつも通り、以下の感想にはネタバレがシレッと挟まれまくるので注意されたし。ただ今回は原作読んでるなら大丈夫だと思う。
いやもう内容全部覚えてるし笑
変な改編でイメージ崩されても嫌だし、ちょっとなぁ……。
てなってる人。よく思い出してほしい。鳥山明の短編三作品である、カジカ、COWA!、SANDLAND、この3作品が何回読んでも面白いということを。
正直に言ってしまえば私も舐めていた。単行本1冊に完璧にまとめられた作品を劇場で観て、声のイメージが壊されないか、鳥山明の天才的なカット割りとテンポ感が損なわれないか、無駄な改編や冗長な演出が挟まれないか、でもそうじゃないなら……という一抹の期待。
バッチリでした。大丈夫です。安心して観てください。追加シーンもあったのだが、全然このキャラならやるなっていうものしかなかった。スタッフの愛を感じる。
ていうかカジカとCOWA!も同じ製作陣で作ってくれ。頼む。
物語の舞台に私は全て納得済みなのだが、元々のストーリー自体にツッコミどころが全くないかと言えばそれは嘘にはなる。
幻の泉を国王軍は発見していなかったのかとか、元々の世界やさらに外側の世界はどうなってるのかとか、実際最後の川は恒久的に流れ続けるのかとか、技術と荒廃具合は一致しているのかとか、人間が発展した時に悪魔と共存し続けられるのかとか、でも別に全部どうでもいい。枝葉の枝葉でしかない。
この作品で大事なのは悪魔の王子と悪魔のジジイとジジイが旅をして絆を深め合うところだ。なんだその組み合わせ!?
ところがこれが最高なんだよな。年齢ギャップも価値観ギャップも異種族ギャップも、もうありとあらゆる良さが詰まってて癖が凄いんじゃ。それだけじゃなくて登場人物全員キャラクターが立ちまくってるし、畳み掛ける展開は飽きさせることが無いし、泣ける。それは元の漫画からそうだった。鳥山明といえばアラレちゃんとドラゴンボールだが、短編三作品のカジカ、COWA!、SANDLANDもその話のまとまりが異常にうまい。舞台設定、物語の提示、キャラクター紹介、お話の展開、風呂敷の畳み方、どれもジャンプ漫画の理想的なお手本だと思っている。最後まで手元に残したい漫画達の一つ(三つ)だ。
だからこそ映像化は難しいだろうなとも思っていた。
ただなぞるだけだと、漫画でいいじゃん。漫画だとページをペラリで進むテンポ感を落とせば冗長、タッチが変わればにわか扱い。かなりハードルが高い。
ちゃんと越えてきた。素晴らしい。拍手。Congratulations。
3Dアニメでありながら漫画的タッチを損ねていない技術の高さもさることながら、SANDLANDでの少しハズした感じのベルゼの戦闘シーンの再現度、戦車戦の熱さ、ベルゼが戦車を蹴って長距離を跳ぶシーンのなんかグッと来る感じ、スイマーズとの追いかけっこの疾走感、ブチギレベルゼ、ちゃんとSAND LANDの映像作品してた。本当に凄い。
ちょっと余計な話をする。私は3Dアニメ特有の360度回したがる謎カメラワークとか、妙に軽さが出てしまう戦闘シーンとかがあまり好きではなくて、そういう不自然さが一切なかったスパイダーバースが本当に素晴らしくてこれを日本の3Dアニメが超えることがあるのだろうかと勝手に思っていたのだが、本当に観てるだけの素人が余計なこと考えるなって感じだった。技術は進歩していってるんだなぁ……。もしかしたら格闘ゲームであるDBFZ繋がりでアークシステムワークスの技術なんかも取り入れられたりしてたのだろうか。本当に良かった。
というわけで原作読者ほど観て欲しいと思ったし、初見の人が私は非常~~~に羨ましい。初見で面白かった人は漫画のカジカとCOWA!も同様に面白いので是非読んで欲しい。オススメだ。そして万が一それらが映像化された時に一緒に喜んで悔しがろう。わはは。
ちなみにこの記事のヘッダー画像は劇場特典でもらえるハイパーアソート(薄い色紙みたいなの)だ。良い出来なので早めに貰いに行こう(謎の宣伝)。