有明の君を思うと、はかない気持ちになる……源氏物語の朧月夜
2024年のNHKの大河ドラマは、源氏物語の作者である紫式部の話だそうだ。そんなニュースの記事を読みながら、時流に乗ってしばらくは源氏物語でも読んでみるかと早速、ネット上の「源氏物語、現代語訳」を探して読み始めた。
あらかじめ、あらすじはわかっているので「八帖 花宴」から読み始めることにした。その訳は、私が通っている茶道教室のお茶室の名前が、それにちなんでいるからである。「花宴」の主人公の名前にゆらいしていると以前、おっしょさんから聞いたことがある。それ以来、源氏物語というと「花宴」を真っ先に思い浮かぶようになった。
あらすじは、光の君が夜の宴会がお開きになった後、夜遅い月明かりに照らされた庭を散歩していると、どこからか「朧月」の歌を吟じながら歩いてくる女性に出会う。気になって光の君は言葉を交わして、また会えるようにとお互いの扇子を交換して二人の物語がは始まると言う感じである。
源氏物語の中には六百余の和歌が使われている。朧月夜に出会った二人が交わした歌が下の二首である。
光の君が女性の名前を聞くと、それに答えて女性が一句。
憂き御代に やがて消えなば 尋ねても
草の原をば 問わじとやおもう
意味は、私がいなくなっても探し出してまでお会いになろうとはしないでしょ、と言う感じ。それに対する光の君は、粘りの一句。
いづれぞと 露のやどりを わかつまに
小笹が原に 風もこそ吹け
と返した。大体の意味は、名前も分からないと探しようもありません、という感じ。
「草の原」には、お墓と言う意味もあるらしいが、光の君も簡単には諦めない、押しの一手である。勉強になる。
朝から、元気の出る光の君の一句である。
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