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褒められているうちは、まだまだ……

 日曜日は、今年初めての茶道のお稽古でした。茶道を初めて二回目のお正月を迎え、久しぶりの炉の薄茶の平点前でした。基本中の基本。しかし、結果は散々なものでした。
 スタート時に袱紗を腰に付けるのを忘れ、お菓子を出す時には器の前後を逆に出し、お客の前で180度の方向転換をして。さらに、茶筅通しをしてお湯を捨てた後、茶巾でお茶碗を拭くのを忘れ。その上、何でしたっけ、とまあボロボロでした。なんとか取り繕いながらお点前を終了。男性の講師の方に教わっていたのですが、しっかりおつしょさんには、目をつけられていました。
 その日の終わりの挨拶の時の事。おっしょさんに、
「今日のお稽古はどうでしたか?」
 と聞かれ、
「忘れ物が多くて、散々でした」
 と答えた。おっしょさんからきつい指導の言葉が返ってくるのかと覚悟を決めて待っていました。すると返ってきた言葉は意に反して、優しい励まし。
「忘れていても、そのカバーがしっかりできていたと思います」
「ありがとうございます」
「カバーができたのは、それは修練の賜物です。お点前で大切なことは流れを止めないこと。例えばカバーであっても一連の動作の流れの中に収まっていれば、大丈夫」
 と、逆にお褒めの言葉をいただいた。そう言われれば男性の講師の方が、私の前にお点前した女性に指導していた言葉を思い出す。
「お点前の手順はしっかり頭に入っています。しかし、一つ一つの動作が止まってしまっています。一連の動作が流れる様に出来ると、綺麗にまなりますね」
 と指導していた。
 それと、もう一つ、おっしょさんの言葉を思い出しました。
「最初の頃は、よくできましたね、と優しいけれど、だんだんと厳しい指導になっていたとしたら、それはあなたが成長しているからです。より上手になるための指導ですから」
 ということは、褒められて喜んでいるうちは、まだまだだ、と言うことか。やはり「月夜の千回お点前」を復活させるしか無いのかな。
 おっしょさんの、厳しいご指導を仰げる様になるために。

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