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俵屋宗達の脇を固める重要参考資料

 俵屋宗達のための資料を読み込んでいる。一つの本に捕まって、そこから動けないでいる。この本がどうして今まで歴史学者や歴史小説家たちの目に止まらなかったのか不思議に思えて来る本である。決して著名な作家の本ではない。しかし、今まで世間に公表されていない新しい視点から見た歴史上の事件の実態が山積みなのである。さらに人物評に至っては180度、評価が変わってしまう様なことまで書かれている。
 すでに脱稿してしまった前作においても、この資料を先に読み込んでいれば、全体の解釈が変わっていたかもしれない。
 世の中には陽の当たる目抜通りしか見ていない著名な作家が沢山いるんだな、と考えさせられる。たまたま私は、そんな本に出会ったから偉そうに言っているけれど、価値のある本に出会うと言うことは、情報が溢れている時代だから、なおのこと難しいのかもしれない。いっそのこと最初からチャットGPTで検索して、Aiに重要な資料を網羅しておいてもらえばよかった、と思えてくる。しかし、それでは探していた資料に出会った時に、欣喜雀躍なんていう喜び方はしなくなるだろう。やはり、あの感動を捨てることはできない。
 新しい時代に入ってAiで作品を完成させるスタイルと、コツコツ資料を読み込んで作品を仕上げるスタイル、作家としてどちらを選ぶのかという選択を、すでに時代は私に迫っているのだろう。
 時代の流れに選択を迫られた時、私がすでに作家として確固たる信念を持ち合わせていないと、創作の仕事量に押し流されてしまって自分を失っているかもしれない。強いては税金を払うために本を書いている、と考え違いをしながらパソコンに向かう様になっているのかも知れない。しかし、そんなふうに税金を気にするくらい印税が入る様な人気作家になっていれば、の話だが。
 とりあえず、今日も茶道のお稽古に向かう地下鉄の吊革にぶら下りながら、次回作の資料を読み込んでいる。

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カゲロウノヨル
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