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和歌で楽しさ倍増、お茶室のお稽古
茶道のお稽古でのこと。
この一年あまり、主人と客の問答の時のお茶杓の銘を、古今集の和歌から取って答えている。
先日のお稽古で亭主の時、問答で客にお茶杓の銘を問われた。私は準備してあった銘で答えた。
「お茶杓の銘は、古今集の小野小町の歌、
花の色は うつりにけりな いたずらに
わが身世にふる ながめせしまに
から取りました、わが身世、にございます」
お点前が終わったあと、隣りの炉でお稽古を見ていた先生が、一言。
「カゲロウさん。今日のお茶杓の銘は、どうかしら。長雨よね」
「はい」
この日の天候は、雨が上がって春の陽光が差している。
「今日なら、
久方の 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらん
かしら」
先生に指摘されて、くやしさから来る苦し紛れに、
「紀友則の句ですね。次回、頑張ります」
と、当てずっぽで答えた。先生はニコリと微笑んだ。
どうやら先生も、私とのお茶杓の歌合せを楽しみ始めたようだ。和歌を使ったお茶杓の銘に、最初は出過ぎた弟子と思われるかも知れないと不安だった。私の作戦は間違っていなかったようだ。
お茶室が華やいだ雰囲気に包まれたように思えたのは、私だけだったろうか。
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