Ai に京都弁の変換をやらせてみた……
以前、作家の浅田次郎氏と話をした時のことである。
「舞台になっている土地の方言を使って書かないといけない。全て標準語で書いてしまう作家がいるが、私は嫌いだ」
というようなことを、私に話してくれた。その言葉を聞いて以来、私は方言、特に京都弁に取り憑かれている。
私が書いている時代小説の始まりは能登か金沢になるが、メインの舞台はやはり京都である。
私は京都には仕事以外で行ったことがない。ショート・ステイばかりである。京都弁なんて使いこなせない。
もっと言えば宮中、公家、武家、さらには上流商家、庶民、下層庶民と使う言葉が違うらしい。流石に、それぞれを使い分けることは、現代の京都に住んでいる人でも不可能だろう。なんとか、できないかと「京都弁変換ソフト」を試してみたが、どうも具合が悪い。簡単な日常会話になればなるほど、あやふやな変換になり、実質、変換になっていない。
そこで試したのが Ai である。必要最低限の変換はやってくれた。さらに、ある程度の長文も変換してくれる。しかし、それとてすぐに限界に達した。一般的な会話は変換できても公家の会話になると、ただの丁寧な言い回しでしかない。ましてや「まろ」なんて出て来ない。まあ、こんなところだろうと自分を納得させ、次に進むことに腹を決めた。その先は、担当の編集者が付いた時に話し合えばいい。とにかく、そのレベルまで作品の完成度を上げて行くのが先決問題だと自分に言い聞かせて、とりあえず書き進むことにした。
こんなことで悩むのも、小説を書く事でもたらされる楽しみの一つである。
それにつけても、私の思考回路を刺激してくれる様な人物に、最近、出会えていない。日常がマンネリ化してきた。なお一層、創作に励もうと自分を誤魔化して……。人との出会いは大切だが、それ以上に覚醒させてくれる人に出会うことは困難である。努力はしているのだが。努力の方向性が違うのだろうか。
これも Ai に質問してみよう。それも、違う様な気がする。しかし、切実な問題である。藁をも掴む思いで頼るしかない。新しい彼女のゲットの方法もついでに……。