マガジンのカバー画像

篝の短編小説

7
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

【短編小説】一縷の光

 深夜午前零時。外は雨だった。
 部屋の布団の中は光っている。
 彼は"おそらく"悪夢を見ていた──

『わたし、実は元カレに未練があったんです』
『そうなのかい?』
『はい! いつも相談に乗ってくれてありがとうございました!!』
『僕でよかったらいつでも相談してね』
『はい!!』

 ──布団の中は暗くなる。
 たった今、想い人に心臓をナイフで刺された。男は不思議なことに涙を流すことはなかった。

もっとみる