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【読書感想】 宮沢 孝幸著『京大 おどろきのウイルス学講義』

グーテンターク!皆さまこんにちは。今日は面白くタイムリーな本を読んだので感想を書きます。

#おどウイ こと 『おどろきのウイルス学講義』です。京大と入れたのは編集者の都合でしょう。おどろきというのも私を含む一般読者からみた表現であり、内在性レトロウイルスをずっと研究しておられる宮沢先生にはなんのおどろきでもないのでしょうね。

なんといっても6550万年(!) 前から現在の時間軸と宇宙と地球の空間軸でウイルスを語っておられて壮大。でも荒唐無稽では全くなく人類が積み上げてきた科学的研究と最新の知見に宮沢先生の見解をより合わせながらわかりやすく説明してくださるのでとても読みやすかったです。令和3年に新型コロナウイルスのパンデミックで突然どうしよう、不安だ!でもウイルスって一体何なの?と突然ウイルスに興味をもった私にも読みやすい本でした。

宮沢先生はYouTubeの動画で新型コロナウイルスと感染対策について真摯に解説されるお姿も、にゃんこ先生としてのお茶目で優しい一面も拝見していたですが、改めて研究者としての真理を探究する姿に触れることができたのもよかったです。

病原性ウイルスの研究とともに内在性レトロウイルスの研究を続けてこられた宮沢先生。本書は新型コロナウイルスの存在もあるがままに見つめてほしいという願いが込めて書かれたそうです。

確かに、ウイルスの全容を知らないまま、我々一般人ははとにかく新型コロナ憎しで語ることが多いですよね…。

そんな私もウイルス=病原オンリーと思い込んでいた一人でした。

「ウイルスは決して悪者ではない」という宮沢先生の主張に当初は驚きましたが、この本ではその主張が私にもわかりやすい形でウイルスについて、またウイルス学の進展を紐解きながら論理的にかつわかりやすく説明されています。

動物も植物も細菌もウイルスもすべて地球上の生き物で、相互に作用しながら生きているということについて、まだまだ専門的知識は足りませんが、本書を通じて大きくはその意味を理解することができました。


外来性レトロウイルスが感染し最終的に生殖細胞に入りこんで宿主のゲノムの一部となったものが内在性レトロウイルスだそうですが、この内在性レトロウイルスは哺乳類の進化に影響を与えており特に胎盤形成のプロセスに関与しているあたりが特に興味深かったです。またその哺乳類が胎盤をより発達させ子孫繁栄を可能にしたアドバンテージがゆえに、免疫系の弱点ともなりがん細胞の発動やがん転移もしやすいディスアドバンテージともなっているかもしれないという宮沢先生の仮説(見立て)も興味深く、ウイルス学はそう哺乳類、そしてヒトの進化の謎を解き明かす学問であると認識できたのでした。

宮沢先生はこうおっしゃっています。

私は恐竜が絶滅したての6550万年前頃の哺乳類とその進化に興味があるのですが、現在の有袋類とレトロウイルスを研究することでその解明のための手がかりが得られるかもしれません。ただ、私が生きている間には到底無理でしょう。若いみなさんに期待します。

またこんな願いもこめておられました。


地球全体で一つの生命体であること、地球の生命体も宇宙と関わっていることを、ウイルスを通して認識していただければ幸いです。

これらの言葉から新型コロナウイルスで世界中の人々が右往左往する中で、ウイルス研究者としての矜持を感じます。

もし宮沢先生について知りたい方は京大にこんなポップな紹介文があったので是非ご覧くださいね。

これからもにゃんこ先生🐈のご発言、解説動画などに注目したいと思います。

時々変なアンチに絡まれているのでご心労お察ししますが、出来ればご負担ない程度に一般の我々にむけても情報発信していただけると嬉しいです。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

Bis dann! Tschüss! ビスダン、チュース!(ではまた〜)😊




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