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洗浄された珈琲豆は、焙煎後、甘みもチョコの風味も少なくなるらしい。
またまた面白い論文を見つけました。
先日紹介した論文では、洗浄処理した生豆よりもナチュラルプロセスなどのドライ処理した生豆の方が糖分が残って甘いらしいという内容でした。
上記のnoteについて、結局生豆は甘くなることは書いていたものの、焙煎後に差があるのかについては、書いてありませんでした。
今回見つけた論文で、タイトルの通り「洗浄された生豆は、焙煎後、甘みもチョコレートの風味も少なくなるらしい。」ということが分かったので、そのご紹介です。
少し専門的な話
専門的な文言が出てくるので端的に書きますが、下記のようです。
①コーヒーの風味に寄与する、最も揮発性の高い化合物は、カラメルの香りを持つフラン誘導体。
②これは恐らく、メイラード反応・カラメル化・多価不飽和脂肪酸の熱酸化分解によって生まれる。
③したがって、コーヒー豆のミューシレージの除去してしまうとこれらの反応の基質として利用できる糖が少なくなるため、洗浄された生豆は一般的にフラン含有量が低く、そして焙煎後の甘みとチョコレートの風味も低くなる。
※それぞれの引用元
①Flament, 2001; Moon & Shibamoto, 2009
②Moreira et al., 2012; Zakidou et al., 2021
③Gonzalez-Rios et al., 2007a; Zakidou et al. 、2021
Effects of postharvest processing on aroma formation in roasted coffee – a review
揮発性というのは「液体の蒸発のしやすさ」であり、要は一番香りに直結するのがフラン誘導体というもので、それがカラメルの香りを持っていると。
で、詳細には書いてありませんが、このフラン誘導体によって甘みだったり、チョコレートの風味が生まれているとのことで、これはミューシレージに含まれているようです。
コーヒーの甘みは香りによるもの、との前提で書かれているような論文ですね。そのため先日ご紹介したナチュラルプロセスの方が生豆が甘くなるのとは、全く異なる機序によって甘くなる(甘く感じる)という話のようです。
簡単にまとめると
若干難しいことを書きましたが、コーヒー豆のミューシレージには糖分があるので、言ってみれば焙煎段階でそれが周りに残っているか否かでカラメルの風味の有無に関係するのは当たり前のようにも思います。
例えばコーヒー豆の周りに砂糖をつけて焙煎すれば、それはもちろんカラメルの香りも出るでしょうし、それがないものと比べれば、焙煎時の風味にも差が出るだろうと。
論文を読んで、糖分が残りすぎると焦げやすくなるため、絶妙に薄く残っているものが高品質な風味を出すのかな、などと考えていました。
最後に
KaffalogというWEB版コーヒーノートのサイトを友人と運営しています。飲んだコーヒーの焙煎豆情報やレシピに関する記録を投稿ができ、他の人の投稿も見られるサイトです。
その中から過去に飲んだコーヒーについてご紹介。
本日の焙煎豆の評価
◆記録投稿した焙煎豆
HILL PINE’S ESPRESSOさんのEL SALVADOR, LOS CERRITOS FARM/ PACAMARA/ WASHED
◆一言
私も友人も風味と苦みを特徴に感じた焙煎豆でした。タバコはほぼ吸ったことがないですが、こういうのがタバコに合うんだろうなと思った焙煎豆です。
◇ナカジマの評価
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◇友人の評価
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