グロースマインドセットが低くてもPISAで高得点の中国
幻想のPISAで取り上げたカンザス大学のZhao教授が2020年1月のブログで書いていた以下の記事に、Why doesn't growth mindset work for Chinese students?【グロースマインドセットが中国の生徒にはうまくいかないのはなぜか】というタイトルでPISAの批判記事がありました。
結論から言うと中国の生徒の能力の話ではなく、結局はPISAで測れる能力には限界があると言うもので期待していた内容ではありませんでしたが、面白かった点だけメモとして。
グロースマインドセットが何かについては以前書きました。
中国ではグロースマインドセットより、フィクストマインドセットの生徒の方がPISAで高得点をあげているそう。グロースマインドセットがあっても学力向上には貢献していないのではないかと言うのがZhao教授の論点です。その点についてPISAの見解としてはもちろん「グロースマインドセットがあれば学力があがる」と言うもの。リーディングのテストでは「知能は自分の力の及ばないものである」という質問に対して、そう思わないと答えた生徒がそう思うと答えた生徒に比べ成績が良かったというのが根拠。
しかし、実際はグロースマインドセットも高くて、PISAの成績も良いのは79カ国中13カ国のみと少数派。グロースマインドセットが低くても高得点を取る生徒がいる国もあります。
西洋の物差しで作ったPISAの質問事項自体がアジア圏の生徒には難しかったり、文化的背景から違う感覚で答えていたり、グロースマインドセット自体の意味合いが国によって違うとか、まあ言い出したらなんとでも言えるようなこともあるのですが、同じ物差しで世界中の子どもたちの能力を図ろうと言う事自体がやっぱりWildest Dreamsなのだろうと思いました。
グロースマインドセットの概念自体には悪いところはないですが、それを画一的に測ろうとしたPISAに問題がありそうです。それこそ文化的にグロースマインドセットのあり方や捉え方は異なるでしょう。そう言う点において、こちらからあちらは見えるけど、逆は難しいと言うのは良くある事です。そう言うアメリカの先進国指導主義みたいなところを堂々と批判しているこの教授の勇気には共感するところが多いなと感じました。