英語嫌いにならないことが21世紀スキルにつながる理由
英語嫌いの高校生の何と多いことか。
中学生対象のベネッセのアンケートでも6割が「苦手」「やや苦手」と答えています。
実際、クラスによれば、英語好きなのはクラスの1割もいないことだってあります。
そんな生徒と対峙する中で私がずっと目指してきたのは、「英語を嫌いにならない」ための授業。
「嫌いにならない」というのがミソで、好きにならなくてもいいのです。でも嫌いにならないで欲しい。
そのために、少しでも英語や異文化理解の魅力に気づいてもらうこと、英語学習に対する自尊心や達成感を育むことを最上位目標として授業計画を立ててきました。
英語が苦手なのは、今まで楽しいと思える経験値が少ないからです。英語が話せた、出来たという達成感も少なく、コミュニケーションをとったり異文化を学ぶことで感動したとか刺激を受けた経験もありません。
だから「英語は楽しい」「もっと知りたい、学びたい」に繋がっていないのです。
私は、そんな子たちの今までの負の経験を少しでもプラスに変えることこそ、生徒たちが生涯学習者として卒業後も英語を学び続けられるために必要なことだと考えています。そのため、いつも授業では下のようなことを念頭においています。
①授業ではできるだけ褒める。トンチンカンな答えを生徒が言っても必ず「惜しい!」と返答する。(これ重要。そしてたまに、「いや!全然惜しくないやん!」というクラスメイトのツッコミを待つ!)
②クラスで発言の場を得たい生徒には元気一杯発言の場を与える
③ゲームをしてみんなで遊び楽しい感覚を共有する
④グループワークや発表など必ず参加型で、みんなでみんなの顔や意見をお互いが知る機会とする
⑤ALTや遠足、海外交流などを積極的に活用し、本物の英語を使う経験を作る
もちろん、出来ないこともたくさんあります。でもどのような形でも英語の授業を楽しめたら勝ち!というスタンスを大事に、しかも教師である私が楽しめる授業であることを大事にしています。
授業が終わり、挨拶をして教室を出るときに聞こえる「あ〜、楽しかった!」と生徒から漏れる感想を聞くことほど幸せなことはありません。
その「あ〜、楽しかった!」が生徒の成績に繋がらなくてもいいのです。
ただ、英語を楽しむその経験が必ず彼らの将来のグローバル意識の形成に役立つはずだと私は思っています。
公立高校の教員であれば、実際に英語に特化した学校で教えることができるのは1割か2割で、残りの8割以上は「英語が苦手」な生徒と対峙することが日常です。学校の状況によって状況は様々でしょうが、英語を学ぶ気がない生徒を見ることほど、我が国の将来を危惧してしまうことはありません。
コロナを経験したことで、世界が思ったより身近であると気づいた生徒もいるかもしれませんが、今の高校生が40代になるころには日本の人口減少はもはや止められなくなり1億人を切ります。そして、国内の外国人人口はさらに増え、今の高校生のが親となりその子どもたちが学校に通うころには教室の風景はかなり多様化しているかもしれません。高齢化の進む社会で、年金も心もとないとなれば、ブレインドレインのように日本から海外へ流失していく有能な人材も多いでしょう。
そのようなときに、今、目の前で「英語嫌い」と言っている生徒にどうしてあげられるか。ぜひ、考えて見てください。
それこそが21世紀スキルであるはずなのですから。