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ゴッホとセザンヌが描いた『自分だけの世界』」後期印象派とは?

前回は「印象派」についてまとめてみました。その印象派のあとに「もっと自分らしい絵を描こう!」とした画家たちがいて、それが 後期印象派 と呼ばれる時代の人たちです。今回はその後期印象派について、頑張ってわかりやすく説明していきます!!

後期印象派とは

後期印象派とは、印象派の次の世代として、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した画家たちのことです。印象派が大切にした「光」や「色彩」の表現を受け継ぎつつ、それだけでは満足せず、自分たちの感情や内面的な世界を描く新しい表現方法を模索しました。印象派が現実の瞬間を描こうとしたのに対して、後期印象派の画家たちは、絵画を通じて自分の心の中を表現しようとしたのです。

後期印象派の特徴

  • 感情の表現:光や色だけでなく、画家の感情や内面が強く反映されています。

  • 大胆な色使い:例えば、ゴッホの「ひまわり」では現実では見られないほど鮮やかな黄色が使われています。

  • デフォルメされた形:現実の形をそのまま描くのではなく、画家が感じたままの形やバランスで表現しています。

後期印象派の絵を見ていると、「現実と少し違うな?」と思うことがあるかもしれません。でも、それこそが後期印象派の魅力です!
たとえば…

「空は青くなくてもいい!」
「木が真っ赤でもいいじゃない!」

画家たちは、現実そのものを描くのではなく、自分の心が感じた「世界」をキャンバスに映し出していました。そのため、見る人によっていろいろな感じ方ができる絵が多いのが特徴です。
こうした後期印象派のスタイルは、その後の現代美術にも大きな影響を与え、「自由な表現」の可能性を広げたと言えます。

印象派と後期印象派の違い

印象派が光や自然の美しさをリアルに表現することを大切にしていたのに対し、後期印象派は「自分らしさ」や「心の中に浮かんだ世界」を表現することを重視しました。

印象派と後期印象派の違い

代表的な後期印象派の画家たち

フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)

  • 独特な筆使いと鮮やかな色彩で、見る人の心を揺さぶるような作品を描きました。ゴッホは絵を描き始めてからわずか10年で亡くなりますが、その間に生み出された作品は後世に大きな影響を与えました。

『星月夜』1889年6月、サン=レミ。油彩、キャンバス、73.7 × 92.1 cm。ニューヨーク近代美術館
©Public Domain

ポール・セザンヌ(Paul Cézanne)

  • 印象派の技法を超え、形を重視したスタイルを確立しました。セザンヌは、キュビスム(立体派)やモダンアートの先駆けといわれています。

『サント・ヴィクトワール山』1887年頃、67 × 92 cm。コートールド・ギャラリー
©Public Domain

ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)

  • フランスを離れ、タヒチで新しい表現を追求しました。原始的な感覚や鮮やかな色彩が特徴です。

『タヒチの女(浜辺にて)』1891年。オルセー美術館
©Public Domain

ゴッホの小話…。

「ゴッホと言ったら、誰でも知っている画家の一人」と言えるくらい、今や世界的に有名な存在ですが、実は生前はほとんど評価されていませんでした。ゴッホは約860点以上の絵と、1,000点以上のデッサンを制作しましたが、売れた作品はわずか1枚…!!

貧しい生活を送りながらも、弟のテオが信じて資金を援助し続けていたそうです。

当時、写実的な絵が主流で、ゴッホの大胆な筆づかいや鮮やかな色使いは奇妙で理解しづらかったため、評価されることはほとんどありませんでした。

しかし、ゴッホの死後、その作品が再評価され、今ではオークションで数百億円で取引されることもあるほど、最も有名で評価の高い画家の一人となりました。

後期印象派と日本の関係

後期印象派の画家たちは、日本の浮世絵からも大きな影響を受けました。特に、ゴッホやゴーギャンは浮世絵の構図や色彩に感銘を受け、自らの作品に取り入れました。このように、後期印象派と日本の芸術には深い関係があります。

さいごに

後期印象派は、画家たちが「自分らしさ」を追求したアートの時代です。現実を超えた色や形で、心の中の世界や、自分が大切に思うものを描きました。これから美術館で絵を見るとき、ぜひゴッホやゴーギャン、セザンヌの作品を探してみてください。

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