俺、多分ばいきんまん扱い。
一応前回の続きです。
悲しいかな、水虫とカンジダの両方に罹ってしまった私は、仕方なく病院にかかりました。
この手の病気は、医者にかかるのが大変恥ずかしいという方が一定数みえますが、そんな恥は捨てて、とっとと素晴らしい日本の保険制度に頼り、医者にかかるべきです。
なぜならば、
診断は的確で処方薬も適切かつ、市販薬よりよく効く
からです。
むしろ医者にかからない理由がない。
私なんてかなりの水虫歴(初回は完治まで5年かかった)ですし、カンジダも幾度となく再発しています。
ようはなりやすいタイプで、20歳のころはほぼ毎月産婦人科に行っていました。
理由は言わずもがなってやつで、彼氏ができたからです。
彼がインキンタムシで無くとも、なりやすいタイプの人は、なります。なりまくります。
でもいつか、免疫がついて、なりにくくなります。
だから、お若い女の子たち、あんまり気落ちせずに割り切って産婦人科に行きましょう。
大丈夫!そんな人はたくさんいるから。
さて、カンジダ。
お薬手帳を見るなり薬剤師さんは、厳しい目でそれを見つつ間髪入れずに私に詰問しました。
「カンジダ、辛いですか?ところでこれはなんの薬です?」
質問プラス質問に若干ビビりつつも、あれ?そんなヤバい薬もらってたかなと思いながらお薬手帳を見ると、それはただの
水虫薬。
私はあっさり白状しました。
「あぁ、それ水虫です」
彼女は、あっ、と小さくつぶやき、マスクをした口もとを手で隠しながら下を向きました。
おそらく、でも9割がた薬剤師さんの考えていることはこうです。
「これ、重複処方じゃないの?」
水虫もカンジダも、白癬菌の仲間みたいなものなので、同じ薬が処方されたりします。
今回もそう判断し、薬剤師さんは確認をしてくれたのです。
とはいえ、もはや
全身白癬菌類汚染人間
になりつつある私としては、なんとも言えないもやりとした気持ちになりました。
また薬剤師さんからの
「皮膚科で治らなくて産婦人科に来たのかなと思いました」のごくごく真っ当な一言が、私の薄汚れて毛の生えたハートを締め付けました。
そりゃそうだよな、目の前の人間が
全身白癬菌類汚染人間
とは思いもしないよな、と自らが作り出した造語で、頭の中まで白癬菌が蔓延りそうになりました。
まあ今んとこ下半身に止まってくれているから、しらくもにはなりたくないなと思ってます。
ついでに爪水虫も嫌。
あれは飲み薬じゃないと治らないからね。
カンジダによく効くお薬をもらうと、薬剤師さんは言いました。
「これはね、治ったと思っても薬塗るのやめちゃだめよ。1本使い切るまで使い切らなきゃだめですよ。カンジダも菌ですからね。」
ほう、これは新常識だった。1本使い切るのか。
使い切るまで塗り続けるんか。
「カンジダもね根が深いんですよ。奥まで蔓延ってますからね。しっかり塗ってくださいね」
なんでだろう。
私の股、というか私自身がバイキンの巣窟みたいに言われてるの、なんでだろう。
おまけに足も水虫。
わしゃ、バイキンマンか。
本気でそう思った。
はーひふへほーー。そんな気分だった。
その後は薬剤師さんと談笑に徹した。
そうですよね、水虫も根が深くて撲滅に失敗しましたしねなどと自虐をぶっ込みつつ、その後の皮膚科医の
「再発したら、またお薬塗ればいいじゃない」
という、マリーアントワネットのような嫋やかなな先生のお言葉を伝えると、薬剤師はまたもやマスクをした口もとを手で隠し、必死に笑いを堪えていた。
今日もいい仕事をしたな。
まさにバイキンマンとしての矜持を持ちつつある私は、そう思った。
その日は晴天だった。
うっかり外を歩けば熱中症になる日だった。
相変わらず私の足と股はジメジメしている。
今年の夏もあせらず撲滅を目指し、頑張りたいと思う。
アンパンにはなれないけど、人間には、なりたい。