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恋しさとせつなさと心強さの先に
先日ラジオを聴いていたら、篠原涼子さんの名曲が流れていた。
ストレートのロングヘアに透明感のある声、鼻にかかるような独特の歌い方に、時々跳ね上がる音程。
どれをとっても当時の小室ファミリーの典型。
その伸びやかな声と、覚悟の決まった歌詞とのギャップ。それに加えたくさんの音が詰まったサウンドが、なんとも気分を高揚させ、けたたましい90年代に戻していく。
小室ファミリー。
それは決して皇族方の結婚話ではなく、小室哲哉サウンドのこと。即ち小室系。
とにかく売れに売れてましたよね。
気がついたら女の子達は皆、声高らかに色んなハコで歌ってましたもの。
そんな透き通るように美しい、小室さんの作った歌を聴きながら、当時歌い手だった彼女たちを思い出す。今は皆どうしているのだろう。
きっと幸せなんだろうけど、
ほぼ全員離婚してるな
と気がついてしまって、どないなってねんと突っ込みたくなった今日この頃。
結婚した3組の1組は離婚する時代ですが、それにしたって、小室、安室、篠原と皆離婚してるがな。幸せそうな朋ちゃんも、いつぞやの安室奈美恵さんと同じカッコの結婚会見が話題となりました。すごくイタくて聴衆はビックリしたみたいだけど、大丈夫でしたかね。
そうそう小室哲哉さんが、僕の時代を宇多田ヒカルさんが終わらせたって言ってたけど、それはどうかな。
本当はいつか終わるって、とっくに気がついていたんじゃないの?
私はね、小室哲哉さんが好きなんですよ。
あの人が作る歌の、せつない力強さと覚悟がすき。どうしようもない衝動感と焦燥感に乗せられた歌詞は、若さ故の強がりがある。
それは歌い手と客層の年代に見事にマッチし、一大ブームを引き起こした。
あの人自身の精神性も若かったのかもしれないけれど、それをずっと作り続け、プロデュースまでしていた彼の能力は本当に化け物なのだ。
だから宇多田ヒカルさんが終わらせた、と言ったのを聞いた時、本当は彼は安心したのではと思う。
全く別の才能が、自分の仕事を引き受けてくれたのだから。
それにだ。
実は宇多田ヒカルとKEIKOは全然違う訳じゃない。2人ともソプラノボイスで輪郭は卵型。
むしろ似ていると感じている。
彼女たちがショートカットだった時の写真を見比べてみると、類似点がいくつか見つかるほどに。
宇多田ヒカル氏はその世界観もそうだが、その歌声はいつもスモーキーで優しい。人はそれを憂いともいう。
少なくともそれは小室ファミリーのそれとは逆で、彼らのように刹那的に愛の覚悟を語ったりはしなかった。
恋の衝動をそのまま語り、恋の終わりは終わりのままで、やはりそのままの気持ちを歌っていた。
ある時はレオンのマチルダになり、またある時は現実的に、カップルのすれ違いを歌った。
極め付けは、母の死だ。
宇多田ヒカル自身、あんなにいい歌はもう作り出せないと言っていた。
ずっと喪失を歌にしていると言う彼女が、これ以上ない喪失を味わい歌にするのを、だれが聴こうと言うのだろう。
わたしはもう聴きたくない。
この上なく優しいメロディが、大好きだった人のお葬式で、これでもかというほどの慈しみを込められ、ずっとずっと流れていた。
それ以上のモノを宇多田ヒカルという人間に、私は求めたくない。
とにかくみんな幸せだったらいいんだけど、小室さんの会見は壮絶でしたね。
どちらの小室も歳を取り、顔はかなり変わったけれど、悲壮感がより漂っていたのは、全てをさらけ出してしまった小室哲哉氏の方だろう。
不倫からの引退(当時)。
なかなか凄まじかったですよね。
自分の男性機能まで洗いざらい話してしまう彼。
いやそこまではと、その正直さがメディアの追求を止めた。
このくらい真摯に、奥さまと向き合っていれば離婚することはなかったのに。
そりゃ逃げたくなることもあるかも知れないけれど、あなたが真摯に向き合うべき相手は、テレビの向こう側じゃなかった。
たった1人の、あなたのミューズだった奥さまでしょうよ。
KEIKO氏の透明感のある声。きりりとした瞳、少しだけ上がり気味になる音程。
どれをとっても彼女が1番強く、甲高く孤高で、誰よりも美しかった。
今だからわかる小室哲哉氏の才能と人柄。
だから不祥事の後にはいつも応援する人が現れて、彼を助けてくれたりする。
きっと悪い人じゃないんだよね。むしろとってもいい方で、みんな彼に感謝してるんじゃないかな。
みんな色々あるよね。
年老いた夫を捨てて、でも子ども達は夫と暮らしていて、よく分からない生活を送る方もいるみたいだけど、男女の仲は人それぞれ。
だから見守っていきましょうよ。
まだ彼らは若いのよ。
あの腹の決まった会見みたら、そりゃあもう
「幸せになってね」と言いたくなるのが普通でしょうよ。多少髭が伸びてたって、やたら顔がデカくたって仕方ない。
もういいじゃん、幸せにさせてあげなよ。
恋しさとせつなさと心強さのその先に、何があるのかは分からない。
人それぞれなのかも知れないけれど、そこには安寧の地がある事を、私は遠くで祈ってる。
※見出しの写真は、もう篠原涼子さんで篠原涼子さんだったので、秋山真之介さんの絵を使用させていただきました。
ありがとうございます。
鼻にかかる歌声だけど、全く媚びてないのがすき。
しっかし、愛しさじゃなくて恋しさ、なんだなぁ。