いつかアナタをビビらせたい。
もう気が遠くなるほど前の失恋だった。
あっけなく振られた後も、他に夢中になれる男の子はちっともできなくて絶望したあの頃から、気がついたら10年以上の月日が経っていた。
彼は東京でミュージシャンになっていて、私は地方の専業主婦になった。
もう2度とすれ違うことはないだろう。
だからこそ夢をみてしまうのだ。
もう絶対に叶わない夢。一度はいきたいあの場所。叶わないことはわかっているけど、書くだけなら許されるでしょ?
もしもう一度あなたに会えるなら、2人っきりになれるなら、私はあなたを助手席に座らせるだろう。
子ども向け番組のDVDがたくさん詰まれた車内で、間違えを犯さないように慎重に、あなたを車に乗せるだろう。
あなたはやがて、驚くだろう。
私が案外飛ばすから。
ペーパードライバーの君を乗せて、悲しいくらいの田舎を飛び出して。
首都高とまではいかなくても、国道くらいはぶっ飛ばしたい。どこへ着くかは分からないけど、あなたをどうしようもなくビビらせたい。
左から右へ、左から右へ。
私だってビビってるけど、今日くらいはカッコつけたい。
流れるような光に沿って、アスファルトがタイヤにリズムを産ませてる。
どんなBGMを流そうとも、ごうごうという音にかき消されているだろう。
どれほどこの時間を待っていたのだろう。
お互いすっかり別世界を生きているけど、今日だけは、あなたを凌駕したい。
すごいねとあなたはいうだろう。
だって私たちは、子どもの頃に会ったきりなのだ。
もう少し私が若かったら。
あの時に戻ってしまったのなら。
そう思わなくもないけれど、私は左手の薬指のモノを、外したいとは思わない。
知ってたでしょ?
ずっと好きだったの。
ペーパードライバーの君を
冷や汗かくくらい黙らせたい。
本当はこう思ってるの。
あの時、アドレナリンを吹き出しながら頑張って習得したMT免許。
今となっては何の意味もなさなくて、すぐにエンストしちゃうけど、もし乗れたのならば、それにあなたを乗せたかった。
一足二足三足と、どんどん早くなっていくけど、この時間はゆっくり進んでほしい。
あなたの選んだBGM。
聴く余裕がないのは知っている。
だけどこうしてみたかった。
それでもこうしてみたかった。
あなたに追いつけるのなら。
あなたを追い越せるのなら。
ずっとずっと好きだった。
ずっと忘れられなかったの。
だから今日くらいはビビらせて。
凌駕させて。
一度でいいからあなたを
追い越してみたかった。
ずっとずっと好きだった。
ずっと忘れられなかったの。
だから今日くらいはビビらせて。
凌駕させて。
一度でいいからあなたを
追い越してみたかった。
※首都高に似合う音楽は色々あると思いますが、やっぱり時期的にもこちらがお似合いではないでしょうか。金曜の午後はぶっ飛ばしたくなるしね。トラーべリングっ🎵
※めっちゃ古いし、まだ売れる前の平井堅サマを。首都高から星が近いとか言ってみたい。
若くて青臭いその感じが絶妙に良き。
音もエモいが、90年代感満載のMVなエモすぎる。
たとえ売れていなくても、いい歌です。
マジで。
※ちなみにアタイはゴールド免許の、ベテランチョコ乗りオートマドライバー。
いつも安全運転だから安心してください!
今日もパンツは履いていいます。
AT限定解除は実話でして、真面目に教習所通ったんですがもう乗れなくなりました。また教習所通おうかな、とはこっそり思っています。