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楓双葉
2017年11月25日 16:12
1花びらのようにちぎったティッシュペーパーに糊をつけ、頬に一枚ずつそっと貼っていく。手鏡で作業していた麻衣は顔をあげ、洗面台の大きな鏡で出来栄えを確認し、満足そうにうなずく。手鏡とティッシュペーパーをカバンに直し、新たに取り出した血糊のキャップを開く。薬指の先に赤いインクをつけ、頬に貼ったティシュの欠片に叩くように少しずつ塗っていく。「綺麗な傷にしたいんだ」麻衣が言う。優奈は答えず、手
2017年12月2日 14:19
「鳥がいる!」母が玄関で叫んだ。「なになになに」面倒くさいと思いながら僕は玄関に行く。「鳥がいるのよ」「鳥ぐらいいるだろうよ」「青いのよ」「青?」「綺麗な青なの!ちょっと来て」僕は母と玄関を出て団地の階段を降りた。団地内の小さな公園の木に、青い鳥が止まっている。「飼われてたんじゃないかしら」「セキセイインコじゃない?」「そうなの!?」「うん、多分。ちょっと待ってて」僕