見出し画像

「なまくり、見に行こ」って言われて、自分の仕事観に立ち返った話。

なまくりって言われて、生栗だと思う日本人は何%なんだろう。

今年のお盆休みは長かった。

普段の長期休みは、仕事で潰れがちだけれど、流石に少しはプライベートにも時間が使えて嬉しかった。

そんなお盆休みのある日のこと。自宅のパソコンが寿命をだいぶ過ぎているので、夫と2人で渋谷にパソコンを買い替えに行った。

さて、家電屋さんデートを楽しんだあとは、私の時間。あれやこれや、細々とした買い物に夫に付き合ってもらう。

……と、渋谷109の前を通りがかった時、夫がふと言った。

「なまくり見に行かない?」

パッと想起されたのは、焼栗を入れて販売している紙袋の赤い色。でも、話を聞くと、どうやら違うようだ。

SHIBUYA109 Englishsiteより

その「なまくり」とやら。
109の中の自販機で売っているらしい。
ネットニュースで見て、気になっていたとのこと。

夫が一人で109に入っていくイメージはつかない。
私と渋谷にいる今日がチャンスと、109を見てふと思い立ったのだろう。
(一人で109でお買い物を楽しむ男性がいても、わたしは全然良いと思うけれど、うちの夫の場合は。という話)

外は暑いし、口がパサパサしそうな気がして、そんな栗が食べたいわけではなかったけれど、夫がそれで喜ぶなら私も嬉しい。
早速行ってみることにした。

全然違った。(口には出さなかったけれど)

あらっ。

自販機を見て、自分の勘違いに気づいた。
((生クリームじゃん))

買ってみた。

容器にぎっしり詰まった生クリーム。
夫が一つ買って、近くのベンチで早速食べ始める。
私も一口もらってみた。

(一口ちょうだい。が嫌いな人も世の中にはいると思うけれど、夫は絶対に嫌な顔をしない。そういうところが、好きだったりする。笑)

大きく一口頬張ると、程よく泡立てられて、ふんわりと、かつ密度を感じさせるテクスチャーに口福感を覚える。
くどすぎない優しい甘さで、ペロッと一人でも食べきれそうだ。

予備知識がなくても「生クリーム」へのこだわりを感じられる仕上がりだった。

なるほど、これは私も好きだ。
とっても美味しかった。
通販もあるようなので、機会があればぜひ買ってみて欲しい。

なまくり公式サイトより引用

てっきりどこかの大手お菓子会社の開発だと思っていた。

どこかのお菓子会社さんの新商品開発担当の「生クリームが好きだ」という熱い思いに、市場調査・データ分析が追加でなされて企画が通ったのかなぁ。なんて想像していた。

(哲学と計算。なまくりの論語とそろばんだ。と思ってみたり)

あとで調べてみたら、どうやら違ったみたい。
生クリーム愛好家の代表の井上さん(そそう丸さん)が100回以上の試行錯誤を繰り返して作り上げた商品とのこと。

インスタで開発の裏側を読むのも、とても楽しかった。

誰かの仕事の背景に、思いをはせることが好きだ。

一時の流行り物なんでしょう」と言われることもあるそうだけれど、ご本人はそんなふうには思っていない。
本当にただ、好きで好きで堪らなくて、それを極めることや広めることがライフワークなんだろうなと思う。

私はそういう仕事の裏側を想像すると、とてもワクワクする。

だから、博物館に行くのも好きだ。
昔々の誰かが、そこに展示されている葉や、石や、虫を調べ、集め、こんなにも丁寧に並べていたから、こうして今、私の目の前にこれらはあるんだと思うと感動する。

地図や地球儀なんかも、本当に不思議だ。
初めて使った人は、どんな風に世界を見て、どれだけ熱量を込めて、これを作り上げたんだろう。

自分にはない誰かの視点熱意を感じられる。
そんな瞬間に心踊る。

どんな業界でも、そんな“温度感のある仕事“をしている方を尊敬する。

そして、そんな仕事に取り組んでいる人を知り、その思いを文章を通して伝えること。

それが実は、私のやりたいライフワークだったりするんだよなぁ。

今日は、日常に揉まれて忘れがちだけれど、なまくりを通して、自分のライフワークという原点に立ち返れた話。

私の夏の思い出。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集