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IoT ・Digital Twins 最初の一歩

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ライセンス条項

はじめに

IoT(Internet of Things) という言葉が一般化したのは、2013年あたりだったと記憶しています。それからすでに10年以上が経過し、更に4~5年前に、Digital Twins というキーワードも出てきました。その間、Microsoft の Technical Evangelist として、最後の方は Technical Specialist Global Black Belt として、数千人の技術者へのトレーニング提供、数百の実プロジェクト支援を行ってきました。支援したプロジェクトにはうまくいったプロジェクトもそうでなかったプロジェクトもありました。
一年前(2022年3月)から、前々職時代から続けてきたモデリング技術やソフトウェア開発プロセス改善に関する著者の知見を note.com の記事としてまとめて棚卸し、2022年9月から、改めて、Microsoft Azure の IoT サービス群を公開ドキュメントを頼りに実際に試しつつ記事を書きながら、頭の中に渦巻いているものを整理してきました。
それらを踏まえ、IoT や Digital Twins を活用する本来の目的である、ビジネスの改善・改革を支援する IT Solution を構築する際に、知っておくべき基本的な考え方、押さえるべきポイントを本稿にまとめてみました。

何故 IoT・Digital Twins を導入するか

IoT・Digital Twins とは何かを、簡単に説明するならば、

”ビジネスの様々なシーンに登場する現実世界の状況をインターネットに接続された機器で収集し、収集したデータを基に適切な判断を行い、ビジネスシステムとの連携を通じて最適な業務プロセスを遂行しつつ、機器を通じて現実世界への働きかけを行う仕組み、あるいは、それを実現する技術体系であり、Digital Twins は、現実世界におけるビジネスに関わるモノやコトをデジタルデータ化して IT システム上にモノやコトの写しを構築し、ビジネスに関わる状態が今どうなっているかをデジタルデータとして把握しつつ、IT システム上で状態を変えることによって現実世界への働きかけを行う仕組み、あるいは、それを実現する技術体系”

です。Digital Twins の構成要素である、現実世界の状態の収集と現実世界への働きかける仕組みは 、IoT によって実現されます。

IoT や Digital Twins をはじめとする数年ごとに業界を席巻するような言葉は、斬新な IT 技術を表象するキーワードとして、技術者にとっては実際に試して使い倒したい対象として、経営者にとっては経営課題を解決してくれる魔法の杖として魅力的に映るものです。
中には、その言葉に該当する技術やサービスを導入しさえすれば、今抱えている問題が解決すると思ってしまったり、流行っていて周りがやっているから導入を急ぐ企業も出てきたりします。
しかし、IoT、Digital Twins 共に、現実世界の状態をデジタルデータ化する技術であり、手段にすぎません。それらを導入するのは、その手段を用いて、”デジタルデータで現状を正確に把握”し、旧来からある業務システム上のデジタルデータと組み合わせて、”ビジネスプロセスを継続的に改善・改革していく事”が目的であって、”IoT や Digital Twins という技術を導入する事”ではないことに注意が必要です。

当たり前の話ですが、ビジネスプロセスの改善・改革は、ビジネス活動の一環であり、ゴールの設定が必要です。ゴールは、改善・改革を通じて達成すべき、”目指す姿”です。革新的な IT 技術の導入に当たっては、その技術の導入そのものが目的化しがちになることもありますが、本来の目的は、”目指す姿”への移行であることを、導入推進に携わる関係者は忘れてはならないでしょう。
逆にいえば、IoT や Digital Twins の導入に当たっては、”目指す姿”の設定が、まずは必要でしょう。

次に、ビジネス上の”目指す姿”に至るための道筋を考えてみます。

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