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ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語〜

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かつてノルウェーを旅した時の経験を基に書き上げた創作小説です。読んでいただければ嬉しいです。
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2023年3月の記事一覧

ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語9〜

九 夜の病棟は凍りついたように静かに、そしてぼんやり異端者を見下ろしていた。自然のもので…

KadoyaJPN
1年前
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ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語8〜

八 夜が全ての音と光を飲み込んだようにあたりを闇に染めていた。その上にうっすらと覆いかぶ…

KadoyaJPN
1年前
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ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語7〜

七 道路脇の木々との距離が次第に近くなってくる。アクセルの踏み込みも強くなってきていた。…

KadoyaJPN
1年前
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ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語6〜

六 「あ、啓介、あれがヘッダール教会」 自然をこじ開けるように森林地帯を抜けたあとのやや…

KadoyaJPN
1年前
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ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語5〜

五 オスロを離れて二時間近く経ったあたりで、ニーナはランチタイムを提案した。時刻にすれば…

KadoyaJPN
1年前
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ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語4〜

四 中央駅を背に、啓介はぼんやりと駅前広場の人の流れを眺めていた。腕時計が午前十時を指そ…

KadoyaJPN
1年前
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ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語3〜

三 「凄い場所ですね、ここ。なんか、こう昔の時代の雰囲気のいい木造建築がずらっと並んでて」 「ええ。ノルウェーの過去600年の本物が並んでいますから」 「本物?」 「ええ。実際に昔からあった建造物を移築して展示してあります」 「へえ、そうなんだ」 「全部で約150棟あります」 「え?そんなに?」 啓介の心から驚いた様子にその女性はちょっとはにかんだような笑顔を見せて俯いた。おそらく自国のことを肯定的に伝えることができたことに喜びを感じるとともに、聞き手との間合

ソールヴェイの歌う風 〜ノルウェーの小さな物語2〜

二 翌日、レンタカーを手配するため中央駅へまず向かった。「小国」ノルウェーは予想しなかっ…

KadoyaJPN
1年前
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