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バリ島プチノマドワーク締めくくり体験記「肩の力を抜く」旅で見つけたもの
バリ島での2週間がついに終わろうとしている。
今、空港でコーヒーを飲みながら、滞在中に経験したことや、ふと心に触れた風景をぼんやり振り返っている。
今回のノマドワーク体験で、特別な何かを手に入れたわけではないけれど、むしろ「何かを得ようとしないことで見えてくる豊かさ」に気づけた気がしている。
旅は思いがけない洗礼からスタートした。
到着して2日目の夜、デリバリーしたハンバーガーにやられたようで、深夜に悶えるような腹痛で目を覚まし、ベッドとトイレの往復することに…
旅の幕開けにしては手痛いスタートだったけど、今となっちゃ笑えてくる思い出深い夜を過ごした。
幸い翌日は、食欲は戻らないものの、体調は少し落ち着いて。せめて水分は摂ろうと、スタバのアイスコーヒーを飲んで落ち着いた。
こんな時、「絶対大丈夫!」と思える味がどれだけありがたいか、日本の生活にはそういう安心が溢れていることを思い出して、普段は当たり前すぎて見えなくなっている日本のありがたみのようなものに感謝した。
そしてこの日、控えていたのが、ここへきて最初のオンライン研修。
「この体調で今日の研修、ちゃんとできるかな?」という不安はあったが、ゆるゆるであっても、この腹を括ってやるしかないのだ。
そしてオンライン越しに参加者の皆さんの顔が映った瞬間、少しずつ集中モードに入れた。
「そうそう、いつも通り。いつも通り。」と心の中でつぶやくと、自然と落ち着いていくのがわかった。
異国にいても、あまり気負わずに自分のペースで過ごすことで、自分の“いつも”が戻ってくる。そんな実感を得られた瞬間だった。
旅の途中からは、チャングーからウブドへ移動した。
そこに足を踏み入れた途端、心がふわっと軽くなったのを感じた。
ここは何もかもが静かでゆったりとしていて、ここの環境に身を委ねていると、不思議とゆっくりと深く深呼吸できる気がして、その空気が身体中に染み渡っていくようだった。
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カフェでコーヒーを頼み、朝日が差し込むグラスの光をぼんやり眺めているだけなのに、心が静かに満たされていく。
コワーキングスペースでも、自然の風や鳥の囀りを浴びながら仕事をしていると、心が落ち着いていくのがわかる。時折そばにやってくる、そこで飼われている犬が足元でゴロリと休む様子に、こちらも一緒にリラックスできた。
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また、コワーキングスペースの方が主催したディナーイベントでは、さまざまな国から集まった人たちが思い思いに自分の話をしてくれた。
仕事のこと、人生のこと、夢のこと――
中でも印象的だったのは、「どこにいても自分のリズムで自由に生きる」ことを大切にしている人の多さと、人生を見つめ直すためにここに来ている人が少なくないこと。
UKの彼、イタリアの彼女というカップルは、世界中を旅しながら生きているのだという。資金が少なくなってきているようで「さてさて、次はどうしようかね」とお互いに優しく見つめ合いながら話していたけど、そこには焦燥感も不安も微塵も感じられなかった。
「何かを成し遂げなくても、焦らなくても、私たちは私たちなんだ」
そんな生き方をしている彼らの話に考えさせられると同時に、その夜の話は心から楽しかった。
ただ、その夜の出来事を思い返せば少し不思議なこともあった。
ある遅れて入ってきた参加者の方がいたのだけど、彼は私だけを避けるように、唯一握手をせず、会話にも入れなかった。
少し前なら、こうしたことに気持ちが動揺したかもしれない。
だけど。その時にはそれに全く気づかなくて。2日くらい経って、「あぁ、そうか…あれは多分、差別的なものだったんだな」と思った。そしてただ、それだけのこと、と。
なぜか。
それはきっと、私にとっては「取るに足らないこと」と感じられたからだと思う。
その時の彼の態度に気づかないくらい、その日の、他の人たちの生き方や働き方の話に魅了されていたし、心地が良い時間だったから。
そしてここウブドでの少しの余白、余裕が自分の中に生まれていたためかもしれない。
「そうか余白ってやっぱり大事だな」
その夜のことからまた一つ、大切なことに気づかせてくれた。
日本で日々過ごしていると、無意識に自分の中の「ないもの」に目を向けがちだ。
今回の旅のはじめのチャングーでも、ふと孤独を感じて「ないもの、足りないもの」を意識してしまった瞬間があった。
だけど、ウブドに来て、「何もない」こと…というか、「何かを求めすぎない」ことで感じる豊かさ、というものがあるように思えたし、自分を満たしてくれるものとして、そういったものも大事なのかもしれないと感じるようになった。
もしかしたらこの旅が教えてくれたのは、「求めすぎずにただある」ことの美しさ、だったのかもしれない。
バリ島でお世話になったドライバーさんも、そんなことを話してくれた。彼が言っていたのは、「ヒンドゥーでは、怒ることは恥ずかしいこと」という教え。バリの人たちが微笑みを忘れず、通りすがりの人にも「Hello」と話しかける文化の裏には、怒りよりも対話を大切にする姿勢があるのだという。そのマインドに触れながら、自分の中にゆっくりと浸透してくるような思いだった。
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「今回、2週間があっという間だったけれど、次に来るとしたらどれくらい滞在したらいいですか?」空港に向かう車の中でそう聞いてみると、ドライバーさんが「少なくとも1年だね!」と笑顔で返してくれた。
毎朝通っていたカフェで仲良くなったスタッフのアユさんも「次はもっと長く来て、一緒にいろんなところを回ろう!」と言ってくれて、本当に温かい気持ちになった。
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こうして空港のラウンジで過ごしていると、たった2週間だったのに、もらった優しさや思い出が次々に蘇って名残惜しい。
だけど、帰国してから待つ日常も少しだけ楽しみだ。
取るに足らないことを軽やかに流し、あるがままの「今」に満たされる心の余白。
そんなバリでもらったエッセンスを忘れずに、自分らしく、これからも旅するように生きていけたらと思う。
そして、またここに戻ってこよう。