ようやく毒から逃げまして②~祖母を毒と認識するまで~
(画像はいらすとや様より、筆者が加工)
前記事の【イかれた遍歴】でも記したが、両親の離婚をきっかけに私は毒祖母と同居することになった。とは言っても両親、姉、私の四人で生活していた際も毒祖母はほぼ毎日のように来訪(という名の押しかけ)していたので環境はさほど変わらないと思っていた。
しかしいざ毒祖母との同居がはじまると、
金の話か人の悪口か自分の自慢話しかせず、少しでも気に入らないことがあれば、すぐに「出て行け」攻撃(口撃?)が始まった。
具体的な例を挙げると、
・寝食を削って働く母に「金が足りない」と毎日のように言う
・そのため仕事を増やして三、四時間しか睡眠時間が取れない母に「子供を養ってるんだから、それくらい当たり前だ。私は働きながらアンタらを育てた」と言い放つ
・少しでも毒の間違いを指摘したり、母の肩を持てば、「ここは”アタシ”の家で、アンタたちを住まわせてやってるんだ。気に入らないなら、全員出て行ってちょうだい」と平然と言ってのける
心身ともに限界間際だった母に対し、過剰に生活費を要求するのは間接的に「死ね」と言っているのと同じだ。(補足しておくと当時の毒祖母は年金生活だったが、家のローンはほとんど返済済み。さらに伯父2も同居していたのだから生活にはある程度余裕があったはずだった)
「出て行け」という言葉も人を深く傷つける暴言に違いない。出て行けないことを分かって言っていたのだろうが、本当に私たちが家を出て行って最悪路頭に迷ってもよかったのだろうか。これも間接的に「どうでもいい/死んでもいい存在」と言っているのと同義である。
その後も毒祖母のモラハラは続いた。一方で毒祖母自身も老齢のためか、生活や家事での間違いや誤りが増えていった。
成長した姉と私も徐々に分別がついてきたゆえに、そのことを毒祖母本人に指摘するようになった。するとお決まりの「気に入らないなら出て行け」もしくは「アタシの家(金)なんだから」攻撃が返ってきた。まるで馬鹿の一つ覚えのように。
そこで毒祖母のミスを未然に防ぐために進んで家事を行えば、「やり方が気に入らない(と言って全部直される)」「私に任せればいいんだ」「自立してからやれ」と言われてしまう。ならばせめて自分たちの分だけの洗濯と炊事をやってみれば、「(全員分まとめてやらないと)光熱費がもったいない!」と鬼の形相で止めらた。
ここまでくると、もはやお手上げ状態である。
それでも私たちは、「家族だからきっとうまくいく」と信じてやまなかった。
何度も何度も考えた。来る日も来る日も母と姉、私の三人で話し合った。どうしたら毒祖母も含めたみんなが気持ちよく穏やかに生活できるか、どうしたら毒祖母の機嫌を損ないで穏便に暮らせるか……そんな協議を重ねるに重ねては、さまざまな対策を実行してきた。だが、どんな策を打っても最後は「出て行け」か「アタシの家(金)なんだから」攻撃と止めどない癇癪によってすべてをうやむやにされてしまった。
そう、どんな手を打っても『詰み』なのだ。毒親や毒家族の前では。
積み重なる怒りと苛立ちから腹の底では「いっそのこと死んでくれればいいのに」と感じるようになっていた。が、同時に家族に対してそんな考えを持つ自分自身にも強い嫌悪感に苛まれた。ならばいっそ自分が命を絶つか、相手を道連れにするか──そんな物騒な考えが頭を過ったのは、一度や二度だけではない。
当時家族以外の誰にも相談もできなかった私は、インターネットで「祖母 同居 つらい」「祖母 嫌い」と検索してみた。するとヒットした個人ブログ、某巨大掲示板、まとめサイトには同じような境遇の人がたくさんいることが分かった。
ここでようやく私は、『毒親』や『毒家族』という言葉を知ることになった。
その時の私は、まるで雷に打たれたような感覚に襲われた。自分ではなく、毒祖母自身に問題があるのかもしれないと閃いたからほかならない。その流れで私の毒祖母が自己愛性パーソナリティ障害の項目の多くに当てはまっていることが判明した。
その瞬間、自責の念が霧散して消えゆくのを感じた。
母も姉も私も悪くないかもしれない。そうだ、毒祖母の方こそおかしいのかもしれない。そう思えると、小さな光が差し込んだ。
もし、あのまま自分(たち)が悪いと責め続けて何も改善されなかったら今頃どうなっていたか──そう考えるだけでも背筋が凍る。
今まさに家族や親について思い悩んでいる方は、一度冷静に毒親/毒家族および自分自身のことを分析してみてほしい。問題解決の糸口は、問題の種類やその原因を理解することにあると私は思うからだ。もちろんそれが非常に辛い作業になることは私も痛いほど理解しているが、自分自身と大切な人、その未来のためにもどうか試みてほしい。
次は我が家の毒の特徴について詳しく紹介します。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。次回もお付き合いいただけますと幸いです。
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